プロ選手、伊藤壇の場合

ここに一人のプロ・サッカー選手がいます。
元ブランメル・ベガルタ仙台にも在籍していた伊藤壇選手。北海道出身。仙台大から入って、いまだに若々しいイメージしか記憶にありませんが、もう33歳になりました。

ご承知の方も多いと思いますが、彼は、ベガルタを退団した後、活躍の場をアジアに求めて、シンガポール、オーストラリア、ベトナム、香港、タイ、マレーシア、モルジブ、ブルネイと日本を含め9カ国でプレー経験があります。現在は、ブルネイのQAFというチームで、契約を更新したとブログで書いています。まさに、ひとりパン・パシ、ひとりアジア選手権のようです。

実は、彼には10カ国でプレーする、そしてその経験を引退後の仕事に生かすという目標があるそうです。そして、いまだに代理人をつけずに、自分ですべて契約交渉を行っているとのことです。現役時代の条件をただ上げるためでない、将来のためにサッカーをする、という彼独特の理論。
それについては賛否両論あるでしょう。しかし、いわゆる一流選手でなくても、人生計画の中に組み込まれたプロ・サッカープレーヤー生活がある、という考え方は、ユニークです。

勿論、彼は計算だけでサッカーしてるわけではありません。いわゆる「外国人助っ人選手」として、それなりに結果も出さなければなりません。外国人だからといって孤高になっていてはボールはこないし、連係無しにチームも勝てない。それぞれの国の独自の文化習慣も理解しなければならない。何より、チームが優勝すれば共に、涙する感情も持っています。サッカーが好きでなければ、そして強い意志が無ければできないことでしょう。

そういえば、JFLのソニー仙台に、レンタル移籍した大久保選手も5試合で9得点と活躍していますが、プロ契約は彼くらいで、他の選手は、会社の仕事をした後に練習しています。彼もまた、自分自身の目標だけでなく、プロの責任というものを感じ、これまでにないモチベーションを持ったのではないでしょうか。

サッカーを仕事にしている。プロ選手は、生き様をピッチの中で見せているわけです。誰のためでもなく、自分が納得できるプレーができているかです。