仙台の夢はハイボールで始まる

そんなにウィスキーは好きではない。サッカーの魅せるプレーは好きである。



1999年。ちょうど10年前、ベガルタは12連敗とあえいでいた。第2クール、前半戦を終わって最下位。昇格どころかチーム存亡の危機とさえ言われてた。

そこにやってきたのが財前。前年いきなり靭帯を切って全治10ヶ月。そこから復活してきた。

職人肌で、ちっとも守備はしないけれども、計算されたような、ぴたりと前線にはまるパスや、左45度からのループ気味のシュートは、他の選手とは次元の違う、見る楽しさを教えてくれた。
そして2001年には、ベガルタ初のJ1昇格を決めるボレー。

その財前が2006年に山形に移って、2008年には、今度は山形の昇格に貢献。しかし、今年は戦力外となって、現役続行するか考え中とのことである。

まだ、プレーに自信があるのなら、プレーを続けてもらいたい。
勝利に貢献できるプレーヤーはいても、人をひきつけるプレーができる選手は、そう多くはない。
人に夢を与え、貢献できる場が、まだまだあるはずだ。


2004年に入団し、2006年に財前から10番を引き継いだのが、梁。

最初は、確かにうまい選手とは思ったが、相手のプレスで良くふっ飛ばされていたので、正直これじゃね、と思ったりしたものだ。それが年々フィジカルを鍛えあえげ、そのセンスを歴代の監督に認められ、もう250試合も出ている。ケアにどれだけ気を使っているかがわかる。

そして去年からは主将として、プレーで引っ張り、背中で見せ、声もかける。一度、何かのテレビの映像であったが、試合に出て行く時に、キーパーの林に「行くぞ!」と声をかけていくのがかっこよかった。

さらに、チームが点が取れなくて停滞しているとき、自ら打開するフリーキックの精度を上げっていった。記億に新しいのが、去年の入れ替え戦、第2戦の後半ロスタイム。後2点必要なところで、正面からのフリーキックとはいえ、磐田の川口も触るのがやっとというシュートをねじ込んだ。

あの、緊張がピークとなる状況でも、しっかりとボールをコントロールできたのだから、大いに自信を深めただろう。

その後の今年の活躍はご承知の通り。
今年はエリゼウを、中原を、平瀬を、そして、最後は千葉直樹まで飛ばせた。さらにゴール正面の25m以内のフリーキックであれば、2本に1本は直接入る気がする。

岩本-マルコスの、「蹴った、決まった」も気持ちよかったが、梁のフリーキックの、ずどーんも最高である。相手キーパーに与えるダメージも相当なはずである。

2010年も、その梁のキックを中心に、ハイボールからの夢のようなプレーが次々と展開されるのが楽しみである。相方はあの男かな?まだスピードアップの課題が残っている。さらなるプレーの高速化で、まだまだ進化できるはず。

そして、梁自身も仙台から、南アフリカに飛んだらいい。

(追記)2010シーズン、梁選手はチームのトップを切って契約更改。財前選手は、タイのムアントンユナイテッドに移籍し、現役続行を決断しました。共に今年の、さらなる飛躍を期待します。