U-18東北代表、ブラジル、日本代表を破り、フランスと引き分け

U-18世代の日本、ブラジル、フランス代表に、東北代表を加えた4チーム総当たり戦で行われた、第5回仙台カップ2007。

今年はU-18東北代表の快進撃がすばらしかった。相手10人とはいえ、初戦でブラジルを3-2で下し金星をあげると、続くフランス戦でも追いついての1-1ドロー。そして最終日の対U-18日本代表戦でも、2-1で勝利し、無敗の勝ち点7で優勝もある位置へ。最終戦、フランス対ブラジルで、フランスが3-0と大勝したため、得失点差で、優勝はフランスにさらわれたが、東北代表も堂々の試合内容、胸を張って所属チームに帰ったことだろう。

自分は、最終日の日本代表対東北代表、フランス代表対ブラジル代表の試合だけ見たのだが、特に東北代表の試合はとても面白かった。

立ち上がりからボールの寄せで、日本代表を追い込みミスを誘い、ワンタッチプレーでサイドに展開し、FWの佐々木絢也(青森山田)やボランチの下田(秋田商業)を中心に、積極的プレーでチャンスを作っていった。前半だけ見たら、どちらが日本代表か、わからない感じ。

得点は、前半、日本代表のコーナーキックのこぼれをカットして、カウンターにつなげ、10番の林(盛岡商業)が自陣からドリブルでひとり上がっていくと、ファーサイドに長い距離を走ってきた佐々木にパス、佐々木がDFをひとりかわすと落ち着いてゴール隅に決め先制。
その後も佐々木は、サイドに流れで、決定的なパスを送ったり、中央でサイドチェンジや、ポストプレーなど、点も取れて、周りもつかえる、大分の梅崎を彷彿とされるプレーを随所に見せて、ピッチ内の選手の中で一番センスを感じる選手だった。欲しい。ああベガルタに欲しい(笑)。FWでもMFでもいけると思う。170cmと小柄だが、テクニック、スピード、ゴールへの嗅覚、柔らかいタッチ、ヘッドも果敢に競り、攻撃的な選手に求められるものを、ほとんど持っている。フィジカルをさらに鍛えれば、かなり期待できるのではないか。

試合は、後半、さすがに日本代表もスピードアップして、再三、疲れたれ東北代表DFの裏を取って、1対1を作るが、尚志高校のGK松浦が神がかり的セーブを連発。至近距離の1対1を3本の他、どフリーのシュートも2、3本止めていたと思う。後半さすがに1点は取られたが、日本代表に勝ちたいという、全員の気持ちが乗り移った気迫のプレーだった。そして決勝点は、東北代表のセットプレーからのヘッドを、日本代表DFが手で止めてPK、退場。これを佐々木が落ち着いて決めて、勝ち越し。待望の勝利を得た。

ベガルタユースDF佐々木はぼちぼちといったところ。奥埜は、途中出場でさほどボールに絡めなかった。チームとしては、青森山田の選手が5人いて、連係がスムーズだったのと、各ポジションの選手が、果敢にボールにアタックに行き、球際で負けずに、日本代表を圧倒していたこと、ひとりひとりのテクニックでは、遜色ないことが勝因として、上げられると思うが、何より、気迫が伝わってきた。彼らに教えられたことは多い。


一方、ブラジル代表対フランス代表の試合は、正直、眠かった。。。中盤でのせめぎあいが多くて、なかなかシュートまで至らないこともあるが、優勝の目がなくなったブラジルに元気がなくパスミス散見、個人プレーに走ったあげく、フランスのしつこいプレスに、パスを早いタイミングで出せず、決定機をなかなか作れなかった。本来のブラジルの姿ではないと思う。フランスはカウンターから、スピードで楽にフリーを作って、少ないチャンスでも確実に決め、終わってみれば3-0大勝。おかげで、東北代表の優勝はお預けになってしまった。

両国を見て思うのは、ガタイの大きさとスピード。ガンバ大阪のバレーみたいな選手がごろごろしている。組織か個人かという古典的な分類はもう通用しない。ガタイが大きく、フィジカルもあって、テクニックとスピードを兼ね備えた選手が、ある時は規律あるプレーをし、ある時は個人で打開するプレーをして、臨機応変に使い分ける。ユースの年代から、もう世界はそういうことになっているようだ。