17節:ベガルタ仙台レディース5-0大阪高槻、スペクタルなサッカー、浜田ハットで快勝

2016なでしこリーグ 17節 10月16日(日)13:00 ベガルタ仙台レディース5-0コノミヤ・スペランツァ大阪高槻 ユアスタ仙台



浜田  井上
(西川)   
中野   嘉数 
(美和)(安本)   
岸川 川村
  
繭 市瀬 北原 坂井

ブリトニー

サブは、齋藤、高良、田原、安本、佐々木美和、西川、小野。大阪高槻は、成宮、丸山、サラがスタメン。なでしこリーグでは、ホーム最終戦。ベガルタ仙台レディースは、前節からFWに井上、左SBに佐々木繭を入れ代えたスタメン。

試合は、ベガルタがテンポ良くパスを回し、サイドチェンジを多用、スペースに走り込んでフリーを作る、スペクタクルなサッカーで、浜田のハットトリックほか5得点。守備では、侵入されても粘り強いシュートブロックや、ブリトニーの好セーブで完封した。

良く晴れた秋空には、いわし雲と幾筋もの飛行機雲。気温も20度近くまで上がり、ユアスタは絶好のサッカー日和。

ベガルタは、前節の日テレ戦の余韻を残す、球際への厳しい寄せ、マイボールでもフェイントでいったんかわして、いいテンポでつなぐ、というリズムあるパス回しから、ワイドな攻撃で主導権を握る。

大阪高槻も、キープ力のある元ベガルタの成宮を中心に、何度かカウンターを狙ってくるが、如何せんスピードがいまいちなのと、フィジカルではベガルタが上回っていたため、最後までゴールを割らせなかった。


前半。
立ち上がりから、相手のクリアが中途半端なところを狙っていくベガルタ。1分、嘉数のクロスに浜田のヘッドも、ヒットせず。以降、相手のサイド裏を何度も突いていく。しかし、ロングボールの精度を欠いて流れることも。

4分、嘉数のクロスはキーパー。その後、左ライン際40mのフリーキックを得る。キッカーは中野。エリア内で、坂井のヘッドや、浜田のシュートは弾かれるが、中央から岸川がシュート、こぼれがゴール脇の井上へのパスの形になり、すかさず右足ボレーを振り抜いて、先制。ベガルタがボールを握ってはいたが、枠内シュートがなかったところを、早い時間で決め、チームが落ち着く。井上はリーグ戦今季2点目。

その後、大阪高槻のカウンター、しかし坂井が付いていき、シュートはさせない。その後もベガルタがボールを支配。大阪高槻との球際勝負はほぼ勝っている。7分、坂井が上がってのクロス、ヒットせず。8分、中野のスルーパスに井上が抜け出し、クロス、中央浜田は、もう一歩。10分、ベガルタややパスミス。12分、相手DFのこぼれ球から、浜田が反応よく裏に抜けるが、オフサイド。

13分、中央の中野から、右サイドにいた浜田にパスが通り、えぐっての折り返し、川村が飛びこんでのシュート、触られ枠外。コーナーを得る。2本続き、2本目は坂井のヘッドも、フリックし過ぎか枠外。その後も、川村らが視野広く、サイドチェンジでチャンスを作っていく。17分、岸川から坂井が上がってのクロス、もう一歩。

そして20分、中野がエリア中央でボールをキープ、左に流れながらタイミングを図っていると、SBの佐々木繭が猛然と追い越す動き、絶妙のパスが出ると、ゴール近くまで侵入、狭いニアを抜く繭のシュートが決まって、2点目。久々スタメンの繭が、今季初ゴール。実に展開が気持ちいい得点。これで完全にベガルタペースかと思われた。

しかし、大阪高槻も意地を見せる。22分、ベガルタエリア左奥35mのフリーキックを得ると、ゴール前で振り切られ、ヘッドを打たれる。しかし、これは枠外。さらに24分、成宮が鮮やかなドリブルでボールを持ちこみ、右に振ってクロスからのヘッド、枠外。やや、大阪高槻に流れが行きかけた。しかし、

直後、ベガルタが右コーナーを得ると、中野のキックに、DFの間で、後から飛んだ浜田が、頭ひとつ高い打点、空中で余裕のフリックヘッド、決まって3-0。中野の精度の高いコーナーキックが、浜田のジャンプの頂点にどんぴしゃ。これにはスタンドから「うおー」と感嘆の声。これで前半で2トップが揃い踏み。完全にベガルタペース。

29分、左から中野がドリブル侵入、折り返すが、大阪高槻のカウンターに会う。しかし川村が素早く止める。ここで、大阪高槻は早くも、DF北川に代えMF亀岡を入れる。31分、大阪高槻に中央抜かれて侵入されたが、カバーしてしのぎ、カウンターから、川村が右サイドへパス。嘉数が持ち上がっての、クロス。中央合わず。しかし、こぼれ球を岸川がミドルシュート、枠外。

35分、ベガルタ陣内のフリーキックから、井上がスピードでドリブル前進。最後は浜田へのスルーパス、フリーで抜け出すが、先にキーパーに出られ、シュートは打てない。36分には、浜田から井上、井上がえぐっての折り返しに浜田のヘッド。枠外だったが、既に点を取ってる2トップは、距離間も良く、使い合う。

40分、大阪高槻は、成宮起点のワンツーでベガルタの裏を取り、シュートも枠外。この後、繭が二人に囲まれて、ボールを奪われそうになるが、倒れこみながらも、粘りに粘って、マイボールをキープ。場内拍手。42分、成宮が自分でドリブルで侵入、ベガルタは挟んで守る。43分、繭の浮き球パスで、裏を取った浜田がフリー、シュート狙うがキーパーの飛び出しに会う。しかしキーパーがハンブル、浜田は、倒れこんだ状態のまま、右足で素早く蹴り返すと、ボールはころころとゴールへ、決まって4点目。自身はこの試合2点目。浜田のFWらしい動きが出た。

44分、カウンターで井上が引っ張られながら、ドリブル続行。しかしクリアされる。プレーオンだったが、後で壷井にイエロー。さらに追加時間。井上がハーフ付近でボールを奪うと、川村へ、シュートは阻まれるが、コーナー。これは決まらず。結局、前半は、ベガルタが攻撃力を見せつけて4点リードで終了。

後半。
大阪高槻は、MF本田に代えサンチェス ファビオラをいれる。1分、中央からスルーパスに侵入され、飛び出したブリトニーと交錯。2分、右ライン際40mのフリーキック。その後、スローインとなり、坂井がクロスを入れるが、キーパー。4分、丸山に裏にスルーパスを出されるが、ブリトニーが飛び出し抑える。

5分、繭のスルーパスに裏に出た川村、左からクロスを入れるが、流れる。今日の川村は運動量、視野の広さ、球際の強さをいかんなく発揮。6分、右奥35mのフリーキック、これは決まらず。7分、サイドチェンジのボールから、井上がクロス、中野が受けて、最後は川村、シュートは打てず。しかし、コーナーを得る。

これは決まらず、大阪高槻のカウンター。成宮がドリブルで持ちこみ。丸山にキープされるが、しのぐ。8分、今度はベガルタがカウンター、ボールをつないで、最後は嘉数のクロスに、フリーで浜田がヘッド、バーの上。11分には、パスカットした中野からパスを受けた浜田が上がっていくが、カットされる。

12分、相手ボールを奪って、嘉数のクロス、流れる。その後、左奥30mのフリーキック。これは決まらず。13分、左コーナー、決まらず。17分、ベガルタがボールを回し、最後は中央で、中野からのスルーパスをうけた浜田が、切り返してDFをかわして、シュートコースを作り、左足でのシュート決まって5点目。浜田ハットトリック達成。これも中野と連携から、FWらしい動きだった。

18分、繭から中野、裏の井上にはパスはもう一歩。19分、大阪高槻も意地を見せ、ベガルタゴール中央やや右25mでフリーキック。ここで、大阪高槻は丸山に代え、吉田が入る。フリーキックは結局、壁。20分、ベガルタもハットの浜田を下げ、FW西川を入れる。大量点で西川にもチャンスが巡ってきた。

21分、大阪高槻に侵入され、成宮がフェイントからの強烈シュートも、ブリトニーが、反応よくワンハンド・クリア。この試合最大のピンチだったが、守護神は譲らない。これでコーナーを与えるが守る。23分、川村のスルーパスに西川チャンスも、キープできず。25分、中野に代え佐々木美和が入る。26分、西川からパスを受けた井上が侵入、えぐってファーサイド、フリーの嘉数へパス。嘉数どフリーだったが、パスが強かったか、ダイレクトシュートは枠外。もったいなし。

27分、大阪高槻にエリア内侵入されるが、人数をかけて囲みクリア。29分、美和のクロスに西川シュートも打ち切れず。すこし力んでいるか。30分、井上のスルーパスに坂井がフリーで抜け出すが、キーパーの飛び出しに打てず。今日は、相手キーパー上野に、3点は止められている。敵ながらあっぱれ。

32分、ベガルタのカウンター、井上がドリブルで侵入、追い越した美和のパス、シュートは角度なく枠外。その後、嘉数に代え安本が入る。嘉数も今日は運動量豊富だった。33分、大阪高槻のカウンター、侵入されるが、ブリトニーが素早く飛び出し、セーブ。さすがにベガルタも間延びしてきて、スペースを突かれ始めている。35分、川村が中央で猛然と飛び出し、相手のパスをカット、井上へのスルーパス、井上、飛び出すキーパーをうまくかわし、シュート、しかしポストに弾かれ、さらに、反対側のポストにも弾かれる。不運。

37分、コーナー。キッカーは美和。ファーサイドの西川ヘッドも枠外。40分、大阪高槻のミドルシュート、枠外。41分、ベガルタのカウンター、西川のサイドチェンジから美和がシュート、キーパー。42分、西川ミドルシュート狙うがブロックされる。そのあと、大阪高槻エリア右角でフリーキックを得る。西川が折り返すが、シュートは合わず。

その後、大阪高槻がキープ、裏に出されてフリーになりかかるが、北原がシュートブロック。結局、ピンチもあったが、DF陣ブリトニーが最後までボールに集中して完封。5-0で圧勝。

大量得点で、西川、美和にも時間が与えられたが、フィジカルと経験値を上げる課題は見えたと思う。より目標を絞ってチャンスを狙ってほしい。

シュート数:15-3、CK:7-1、FK:14-9 得点:井上綾香、浜田 遥3、佐々木繭 警告:(大阪高槻)壷井、ファビオラ 主審:高橋美里 入場:1,653人


にしても、浜田のゴールが見たいとつぶやいて、まさかハットを見せてくれるとは。。浜田のハットトリックは、2014年に、皇后杯で2試合連続ハットをやって以来。その後の怪我がなければ、大儀見の後継にもなっていたと思うほど、スピード、高さ、得点嗅覚、さらには守備力も持つ万能ストライカーが、本来の姿。ただ、今年も、正直、この試合まで、キレも、思い切りにも、乏しかったと思う。

しかし、終盤ながら、ようやく再び花開いてきた。周りも浜田の動きを掴み、いいパスを出してくれる。次節と皇后杯、しっかりと準備して、タイトル奪取への原動力となってほしい。

さて、リーグのホーム最終戦ということで、試合後にセレモニー。社長、監督、主将の挨拶の後、年間MVPには、文句なしのGKブリトニー・キャメロン。なんとママがピッチ上に現れて、恥ずかしがるシャイなブリトニーも、「アリガトウゴザイマス」と「この賞はチームに与えられたものと思っています」と締めて、終了。

最高の日曜となった。