WE09節:マイナビ仙台レディース1-2INAC神戸、セットプレー2失点で敗戦も、隅田復帰、新戦力躍動

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WEリーグ2022-2023 9節 3月5日(日)14:03 マイナビ仙台レディース 1-2 INAC神戸 ユアスタ仙台


松窪
(廣澤)
船木 宮澤 矢形
(高平)     
隅田 中島

佐々木 市瀬 國武 楓
(茨木)   (田畑)
松本

サブは、齊藤、高平、田畑、茨木、西野、猪瀬、廣澤。

INAC神戸は、GK山下、DF土光、筒井、三宅、小山、MF、相川、成宮、脇坂、伊藤美紀、FW田中美南、阪口。高瀬、箕輪は、武仲はベンチスタート。

痛い敗戦も、隅田が復帰、松窪、佐々木が鮮烈デビュー

WEリーグ後半戦、1試合消化が多く、首位INAC神戸を勝ち点差5で追う、マイナビ仙台レディースとしては、何としても勝ちたい試合。

試合は、前半3分のフリーキック、後半44分のコーナーと、いずれもセットプレーからの2失点で、1度は追いつくも敗戦。

残り8試合で勝ち点差8と、優勝を狙う上では、かなり厳しくなった。

内容的には、INAC神戸に負けない激しいプレス(WEリーグでは珍しく、両チームでイエロー3枚)と、連動したパスワークで、INAC神戸相手に、ボール支配で上回っていただけに、悔しい敗戦となった。


それでも、4節以来、怪我で欠場していた隅田が復帰。松窪、佐々木の新戦力が、初出場とは思えない躍動ぶりで、チーム全体としても、激しさとスピードを上げ、連携が高まった仕上がりぶりで、今後の試合が楽しみになる、内容だった。


特に、期待のFW松窪真心(まなか)は、ゴールこそならなかったが、小気味よいプレイスタイルで、一気に、スタジアムのハートを鷲掴み。

すでに、大学生や社会人がほんどの、チャレンジリーグ・なでしこリーグ2部で、高校生ながら、2年連続MVP・得点女王で優勝に貢献、2022年の女子U-20W杯にも飛び級出場で、アメリカ戦でゴールなど、経験十分な選手ではあったが、プロデビュー戦では、さすがに緊張していたという。

しかし、そのプレーぶりは、ベテラン風。
前傾姿勢から加速する、前田大然ばりのスピード、攻守にわたる豊富な運動量、背後からのボールに抜け出すテクニック、ひろく展開できる視野、小柄ながら、ヘッドでも競り合えるフィジカルなど、誰もが見てわくわくする、「花」のある選手。

前半10分には、自分でヘッドでして、DFの背後に浮き球を出し、スピードで抜け出すところを、後ろからチャージされた。DOGSOにはならなかったがw、いきなり見せた。

終盤86分まで走り捲って、最後は足攣り気味で交代したが、上々のデビュー。

加入即スタメンも、納得の出来だった。

もちろん、プロのFWとして、結果も欲しいところ。この試合では、シュートは、ミドルと近いレンジの2本で3本ほど(記録上は1本)で、いずれもブロックやキーパーに阻まれた。

本人もインタビューで、悔しさを滲ませていた。巧さだけでなく、負けん気の強いメンタルが求められるのがプロなので、その面でも適性はありそう。

そして、松窪の飛び出しに、いいタイミングで出せる選手は揃っている、マイナビ仙台L。

あとは囮になったり、使い使われの「相棒」を、探っていく事になるだろう。

今年の女子W杯にはどうか分からないかが、近い将来、代表入り間違いないと思う。怪我に注意して、上を目指してもらいたい。

今、松窪のプレーを見るだけでも、スタジアムに行く価値はあると思う。


そして、JFAアカデミー福島の同級生で、左SBスタメンの佐々木里緒も、上々のデビュー。

自分的には、初めて見る選手だったが、レフティでスピードがあり、試合終盤でも長い距離を上下動。

素早くポジション取りできるし、簡単に負けないフィジカルもある。何よりキック力もあって、ロングフィードが得意のようだ。今後は自分で仕掛けて、シュートまでいくのも面白いかも。

里緒選手も、納得のスタメン出場。試合終盤、同点から勝ちに行く場面で、交代ではなく、一列前の左MFも任せられていたのが、監督の期待を物語る。

佐々木選手も、試合前の挨拶では顔がこわばっていたが、試合になると、堂々としてて落ち着いたプレーぶり。

ロングキックが、味方と噛み合ってくれば、面白い存在になりそう。


チームとしては、待望の隅田選手の復帰が、何といっても大きい。危険地帯の察知、視野広い展開は、さすがである。

後半戦からの、早いテンポの展開には、必須の選手。

前半戦の連勝から、彼女が抜けたとたん、チームが失速しただけに、中島選手との黄金コンビ復活は、今後に大きく期待である。おかりえりなさい。


後半戦になって、チームの戦い方もブラッシュアップ。

走りまくる新加入選手だけでなく、チーム全体で、ボールへの寄せ、対人への厳しさ、ボール運びでの三角形形成が格段に速くなった。

國武選手が相手をぶっ飛ばして、自分はバランス崩さず平然としてるような、強気のプレーが見られた。

さすがに神戸のエース、田中美南には、何度か侵入されてシュートを打たれたが、國武、市瀬が激しくブロック。楽には打たせなかった。

市瀬は機を見て、相手ゴール横まで上がったりもした。

中盤でも、首位INAC神戸も戸惑うばかりの、早い展開が可能になり、個々の選手が、自信を持ってプレーしているのが分かる。

隅田の復帰で、中央からの変化もつけられ、中島姉さんの負担も軽減。

戦術的には、宮澤選手が、トップ下や3ボランチ気味に、自由に動きビルドアップや守備、勝ちに行く場面では、2トップに上がるなど、流動的なのは従来と同じだが、周囲の選手の位置取りが早くなって、ワンタッチや速いパス回しが増え、ゴール前まで何度も行けた。

INAC神戸相手に、シュート10本を記録。

ただ、ラストのシュートのところでは、時間がかかったり、パスを選択したり、フォローが遅れて、1点に留まってしまった。ここはまだまだアップしないと。

そんな中で、後半8分の同点弾は、矢形が右の高い位置でパスカット、中央で船木がパスを受けると、早いタイミングで、DFの股間を抜く左足シュートを見事に決めた。船木は今季4点目。


いい内容だったのに、敗れたのは、シュートを決め切れなかったの、セットプレーの守備。

セットプレーの守備では、まばらなゾーンで、大きく動かれた時に、ついていけなくなるのと、球際で当たり負けしていた。小柄な選手が多いだけに、このあたりはひと工夫が必要。

それでも、リーグ前半戦で、苦しんだポイントを補って余りある選手が加わって、楽しみしかない。

また、この試合ベンチスタートだった、移籍田畑、新加入廣澤、選手も安定したプレー。今後の試合では、恵まれたフィジカルを活かし、大いに暴れて貰いたい。

(選手交代)
マイナビ仙台L:
ハーフタイム 佐藤楓→田畑(右SB)
後半18分 船木→高平(左SB)
後半28分 佐々木→茨木(左MF)
後半43分 松窪→廣澤(FW)

INAC神戸
後半28分 阪口→高瀬
後半34分 愛川→箕輪


シュート数: 10-12 CK: 1-4  FK:9 - 8 得点:船木里奈 (神戸)筒井梨香り、高瀬愛実  警告:國武 (神戸)三宅、土光  主審:高橋早織   入場:2,509人