U-20女子W杯2022で日本が準優勝、松窪、西野選手も貢献

8月10日から28日まで行われた、FIFA U-20女子ワールドカップ コスタリカ2022で、U-20女子日本代表は、決勝でスペインに敗れたものの、各選手が持ち味を発揮して、準優勝しました。

マイナビ仙台レディースの西野朱音(あかね)選手は、予選のガーナ戦1試合にCBでフル出場、完封に貢献。
来年2月加入内定の松窪真心(まなか)選手は、予選全試合と準々決勝、決勝に、主にFWで出場。アメリカ戦では先制ゴールを上げるなど、両選手も準優勝に貢献しました。

感想文 [グループステージ] [ノックアウトステージ]

グループステージ(Dグループ)日本時間

  • 8月12日(金)05:00 日本 1-0 オランダ
    西野出場せず。松窪が後半から出場。試合は、プレスをしないオランダに対し、日本が序盤から押しまくり、フリーでシュートを何本も放つが、緊張からか枠に飛ばず。23分に、ようやく山本が決め先制。その後もチャンスも、中々枠に行かない。
    後半、天野に代わり、松窪が左MFで出場。出るなりシュートなど2本ミドルを打ったが、やや力んで決まらず。しかし、次第に連携に慣れて、いいラストパスも出した。日本は、後半シンプルに前にボールを運ぶカナダに、ピンチもあったが、しのぎ切って、まず1勝。
     
  • 8月15日(月)02:00 日本 2-0 ガーナ
    西野がCBでキャプテン、スタメンフル出場、落ち着いたプレーで完封に貢献。松窪も、FWでスタメン前半出場、ゴール前の鋭い飛び出しや、強烈な右足ミドルなど、惜しいシュート放つ。
    試合はブロックを作って守るガーナに苦戦。ボールを支配しながら、なかなかシュートまで行けなかったが、後半に、2つのPKをゲット。いずれも浜野が確実に決め、後半のロングボール攻撃で反撃を試みるガーナ対し、西野らが体を寄せて、しのぎ、2勝を挙げる。アメリカがオランダに敗れたため、次節引き分け以上が必要。
     
  • 8月18日(木)08:00 日本 3-1 アメリカ
    松窪がスタメンFWで、90分間出場、後半先制ゴール
    前半序盤でアメリカにシュートを打たれ、逆をとられたが、GK大場が反応で防ぐ。その後はいい間合いでアメリカを封じ、ボールにぎる日本だったが、中々シュートまで行けず。

    後半、アメリカがプレスを強めてくると、押し込まれる時間が長くなるが、10分、パスカットから山本がスルーパスをフリーの松窪に通し、切り返しから左足で松窪が決めて先制。チームに勢いをもたらす。さらに22分、コーナーのこぼれから小山が追加点。選手を代え圧をかけてくるアメリカに25分、1点を返されるが、終了間際にも,、田畑がヘッドで3点を奪い、試合を決めた。西野は出場せず。
    これで日本は3戦全勝で、決勝Tへ。22日にフランスと準々決勝で対戦。


グループステージ上位2チームがノックアウトステージへ。


ノックアウトステージ 日本時間

  • 準々決勝:8月22日(月)11:00 3-3(PK戦5-3)フランス
    スピードとフィジカル、そしてシュート力があるフランス相手に、前半は、人数で囲んでボールを奪い、日本も応戦。素早いパス回しでチャンスを窺う。しかし15分、フランスの10番FOLQUETにペナ内で強引シュートを打たれ、これがDFに当たり、先制を許す0-1
    それでも、慌てずにボールをつないだ日本は、32分、ペナ内侵入でキーパーのファールを誘い、PKゲット。これを山本が落ち着いて決め同点1-1

    後半開始早々、その山本からパスを受けた浜野が、左サイドからミドルをゴール隅に決め2-1と勝ち越し。その後はドリブル突破で、何度かフランスにゴールを脅かされるが、GK大場のビックセーブ連発でゴールを死守。それでもボールを支配され、後半45分、ついにペナ内でMBAKEMの強引シュートで2-2と同点とされ、延長へ。

    延長では、フランスのスペースに走り込む展開で劣勢の日本、延長後半5分、HOELTZELがミドルシュートを、グラウンダーでゴール隅に決め2-3と勝ち越しを許す。
    次第に時間がなくなり延長終了直前、AT4分、日本のフリーキックからヘッドは枠外。主審はゴールキックの判定。万事窮すと思われた瞬間、キーパーの頭へのパンチングで、VARが入りPKゲット。これを藤野が落ち着いて決め、3-3と土壇場で追いつくミラクル。

    PK戦は、日本が5人全員キーパーの逆をつくシュートで決めるが、フランスは一人目を、GK大場がストップして、5-3で辛くも勝利。準決勝進出を決めた。
    松窪は、後半40分から延長戦まで出場(PK戦には出ず)。惜しい抜け出しシュートもあったがオフサイド。点には絡めなかったが、プレースバックなどで、守備ではかなり貢献した。


  • 準決勝:8月26日(金)11:00 日本2-1ブラジル
    16試合無失点・無敗というブラジルは、日本を警戒してブロックを敷き、守備的な立ち上がり。これでボールを持てた日本は、テンポ良くボールをまわしてリズムをつかむ。
    相手のブロックの横で、ブラジルのお株を浮かぶ軽快なパス回しで、ボールをキープ、スタジアムを、どよめかせる。
    ただ、さすがに高さ・フィジカルのあるブラジルの守備で、中々侵入はできなかったが、30分、左サイドから侵入に成功、相手のクリアミスを拾った山本が中央から切り返し、左足のシュート、これがDFをかすめゴール!1-0先制。リードされた事のないブラジルに、心理的にダメージを与える。
    ブラジルは失点して、プレスを増やし、強引なペナ侵入、コーナーで攻めて来るが、GK大場、CB長江を中心に、粘り強く体を寄せる守備で、前半は1-0で終了。

    後半、ブラジルは、トップに長身YAYA置いてタメを作り、前からボールを奪いに来て、強引にシュートを打ってくる。
    10分、CRISに意表をつくミドルを撃たれ、これがGK大場の手をかすめ、失点1-1。その後も攻め続けるブラジルの攻撃も、素早くセカンドに寄せてしのぐ日本。前線の浜野、山本も、驚異的な運動量で守備にも貢献。
    すると、ブラジルにも攻め疲れ見えてきた39分、中央でボールをつないだ日本、山本からの浮き球で、裏に出た浜野がフリー。キーパーの出際を、チップキックでループを決め2-1と勝ち越し。
    焦るブラジルが、メンバーを代え、放り込んできたりするが、いい立ち位置で冷静につないだ日本が、相手陣でつなぎ始めると「オーレ!」の声がスタンドに響き、ホームの雰囲気で時間を使い、勝利。

    厳しい時間帯もあったが、日本は、要所を締め、落ち着いたゲーム運び、俊敏性が光った試合だった。尚、松窪、西野は出場無し。


  • 決勝:8月29日(月)11:00 日本1-3 スペイン日本は準優勝
    共に中2日で、準決勝と同じメンバー。高い決定力を持つスペインに対し、前半日本は5バックで臨む。
    やや緊張気味の日本は、プレーに硬さが見え、思い切ったプレスに行けない。スペインにボールを展開される。
    12分、日本ラインを上げたところを、得点女王のGABARROに、駆け引きで裏を取られ、どフリー、確実に決められ0-1と先制を許す。
    22分、スペイン自陣からのロングボールに、PARALLUELOに走り抜けられ、またもどフリー、決められ0-2。さらに、26分、ペナ内にボールを入れられバウンドしたボールで石川がハンドを取られてしまい、PK献上。PARALLUELOに強烈に決められ0-3
    前半中盤までの3失点で厳しくなった日本。しかし、スペインもやや守備に回り、日本も吹っ切れたのか、展開してパスがつながり出す。。32分には、山本のスルーパスに抜け出した杉澤が右サイドフリー、切り返しからシュートも枠外。39分には、裏に抜けた田畑が1対1、ダイレクトで狙うがキーパーに弾かれるなど、惜しい決定機を作った。

    後半、日本は5バックから4バックに戻す。さらに、岩﨑に代え松窪、長江に代え天野が入る。ようやく自分達のリズムで回せるようになった日本。早速、スペインゴール前25mでフリーキックを得ると、デザインプレー。山本が左に蹴って、小山がワンタッチで裏へ。これを入ったばかりの天野が押し込んで、1-3と1点返す。早い時間の得点で、期待が膨らむ日本。
    セカンドを拾い、ボールをキープして、ロングシュートなどを狙うが枠外。スペインもフレッシュな選手を入れながら、プレスをかけて来る。
    運動量を誇った日本も、中2日で疲れが出てると、パスがズレ始め、ボールを前に送れなくなってくる。スペインは守備的な選手を増やし、日本も山本に代え土方、大山に代え嶋田を入れるなど、攻撃的な選手を投入するが、崩してのシュートが打てなくなり、試合終了。

決勝は、3点ビハインドになっても、持ち味を出せた時間もあった。が、前半の3失点が響き、準優勝。
それでも、FW山本、浜野、藤野、MF山本、DF長江、GK大場などを中心に、連携のとれたパス回し、スペースへの動きなど、この世代の世界トップクラスのチームであることは証明した。

そして、驚異的な運動量とテクニックで、世界に驚きを与えた「パンツ・イン」浜野が、大会MVPを獲得した。


マイナビ仙台Lの西野は、予選のガーナ戦1試合にCBとして、フル出場、ゲームキャプテンを任され、完封に貢献。フィジカルのあるガーナ選手にも体を寄せて守る奮闘。

松窪は、監督に買われているようで、予選全試合と準々決勝、決勝に途中出場。アメリカ戦では先制ゴールを上げたり、守備での貢献もあった。スプリント力があり、ゴール前に果敢に飛び出すプレーは魅力的。ワントラップ目のコントロールが向上すれば、大化けしそう。この試合で国際試合での経験値を一気に上げたので、WEリーグでも大暴れして欲しい。