2002年 J1観戦記1stステージ前半(1-7節)


節 期日 キックオフ 対戦相手 会 場
1 3月3日(日)13:00 東京ヴェルディ1969 1-0 仙台

山下 マルコス
  
岩本 福永
   
森保 シルビーニョ
(千葉)     
村田 小村 リカルド 森
(片野坂)     
高橋
可能性の見える初勝利

 前半31分、フリーキックを岩本が直接決めて先制、そのままベガルタ押し気味のうちに逃げ切った。主力不在で調整不足が見える相手とはいえ、堂々の勝利。
サブ、小針、片野坂、千葉、山田、藤吉。

 春のような陽気だった昨日と一変、冷たい風が吹き抜ける仙台スタジアム。幸い日が差してきて開幕戦日和となった。観客は17600人あまり。

 ほとんどの人がJ1の開幕戦で興奮さめやらぬ状態だったと思うが、こちらは、なぜか虚ろだった。財前がいないからか。昇格の立役者がほとんど出場できないからか。J1で戦えるだろうかという不安か?今年は練習をぜんぜん見ていない。新たなメンバーに対するシンパシーがまだできていない、そのためか?しかし、そんな下らないブルーをワン・プレイでぶっ壊してくれるのが、サッカー。今日の試合はまだ、今のベガルタの本当の力は出ていない。平均年齢は高いとかいわれてるが、このチームは間違いなくもっともっと進化する。

 試合は立ち上がりヴェルディのペース。速い球回しからマルキーニョスにボールを集めてくる。しかし危険地帯にはいつもキャプテンマークをつけた森保が登場し、ゴール前では小村が体を張り、楽にシュートはさせない。5分過ぎたあたりで早くもベガルタは落ち着きを取り戻し、攻め込まれても慌てない。

10分過ぎには山下から福永でシュート。リズムを掴みはじめる。ヴェルディは中盤までボールをもてるが、ベガルタのつぶしも早く、ベガルタで一番からだのキレがいい岩本も運動量豊富に守りでも活躍。カウンターから一気の攻めでコーナーキックなどのチャンスが出てくる。右コーナーはシルビーニョ。左は岩本が蹴る。

 19分、今日の試合のポイント。相手コーナーキックからのこぼれ球を狙われて、フリーでシュートを許し、やられた!と思ったらゴールポストでセーフ。これで範夫も落ち着いた。このとき以外で、決定的にやられたというのはほとんどなかったと思う。25分から30分はやや中弛み。

 30分、ペナルティエリア近くでマルコスが相手DF3人を引きずって得たフリーキックを、岩本が直接決めて先制!J1でのベガルタ初得点は岩本がたたき出した。カーブのかかったボールが相手ゴールを横切って反対サイドのネットに突き刺さった時、全ての不安が消え、新たな楽しみの時が始まった。

 この後は、中盤での細かいつなぎやサイドからの攻撃などで、攻め込まれても森保の確実なスライディングや小村、リカルドの堅実な守りがあってシュートすら打たれない。逆にリードで余裕のできたベガルタは、山下とマルコス、岩本とシルビの足技が冴え、次々と相手ゴールを襲う。後半になっても集中はきれず、前からのプレッシャーというチーム戦術は一応浸透しているようだ。

 それにしても補強された選手は見せてくれた。特に山下は代表を狙うだけあって、ポストプレー、センタリング、柔らかいボールタッチ、しつこい相手への寄せなど後半20分過ぎから大活躍。調整不足のマルコスの調子が上がって、コンビが機能してくれば評判以上の破壊力が出てきて、二人とも得点も増えるはずだ。

 シルビはまだ体が重い感じで連携はいまいち。しかし岩本とのコンビはできつつあり、またフリーキックも強力な武器だ。今後が楽しみ。福永、片野坂も期待どおりいけそう。これで財前が入ってきたら監督も起用に頭を悩ますに違いない。右サイドで先発した森も、リードした後は、時折持ち味のオーバーラップで見せてくれた。センタリングの精度がもっと上がるといいが。

岩本はさすが自主トレしただけのことはあり、体のキレが全選手の中で一番よかった。、動きで相手を優っていた。後半20分、ドリブルで持ち上がった森のロングパスを反対サイドから40mくらい走りこんで、ヘッドで狙ったシュートは圧巻。それに引き換えマルコスは調整不足。どフリーを2回くらいはずしていた。ま、春めくとともに目覚めてくれるだろう。

 エジムンドがいなくて元気がない相手とはいえ勝ち点3を無失点でゲットした。落ち着いて試合ができていたことも大きい。さ、勢いに乗って勝ち点の貯金貯金。


主審柏原 丈二。63分森保→千葉。76分村田→片野坂。ベガルタ警告シルビーニョ、東京V4人。シュート20-6、FK26-27、CK7-5。
2 3月9日(土)13:00 コンサドーレ札幌 1-0 高知

山下 マルコス

岩本 福永
   (山田)
森保 シルビーニョ 

村田 小村 リカルド 森
(片野坂)     
高橋
連続完封、得点山下!

 経過記録のみ。15℃は初夏の気分?仙台サポ50名とのこと。観客7239人。先発は前週と同じ。サブも、小針、片野坂、千葉、山田、藤吉。気温札幌はFWに小倉、ロブソン、MF平間など先発。

 いきなり札幌ロブソンが決定機を掴むもはずしたとのこと。ベガルタも10分、岩本のコーナーをマルコスヘッドするも決まらず。どうも乱戦模様か。やや札幌押し気味のうちに23分、山下へのファールで札幌DFにイエロー。岩本ゴール右からのFKはキーパーキャッチされる。
 32分[マルコスにイエロー]。ぼちぼち小倉も疲れてくるころ。福永、今日も元気らしい。30分過ぎから徐々にベガルタペースか。40分過ぎからベガルタが攻め込みに次々チャンス来るが得点までには至らず。そのまま前半終了。

 後半。メンバー変わらず。立ちあがりから、ベガルタペース。マルコス、山下が攻め込む。60分ころ小倉のコーナーキックあたりでやや札幌ペースになるも、その後、セットプレーから小村のヘッド、山下のシュートが出て再びベガルタペース。[65分森にイエロー]。[69分福永から山田]。

 72分、岩本のセンタリングを札幌DFがクリアミス、これを山下が狙ってゴール!1-0。左足で振り抜いたボールがキーパーの股下を抜けていった。その後、札幌も前がかりに、83分3人目のFW堀井投入。しかしすぐイエロー。85分からベガルタはサイドから攻撃の嵐?[89分岩本イエロー]。ロスタイムは定石通り、[村田から片野坂]の交代でそのまま押し切り手堅く連勝!


主審:山西 博文、シュート数9-9、CK6-8、FK19-22。警告:マルコス、岩本、森。札幌2人。
3 3月16日(土)14:00 柏レイソル 5-2 仙台

山下  マルコス
   (藤吉)
岩本 福永

森保 シルビーニョ
(千葉)   
村田 小村 リカルド 森
(片野坂)  
高橋
柏の攻撃を上回る、ベガルタのもの凄い得点オプション!

サブ小針、片野坂、千葉、山田、藤吉。先発ともこれまでと同じメンバー。柏も明神、サンパイオ、柳、黄など先発。気温13度、観客17,308人。

 いつもより暖かい陽気の仙台とはいえ、陽のあたらない場所では肌寒い仙台スタジアム。しかしゲームが始まるとそんなことを感じるヒマがないほど点の取り合いの激しい試合模様。後半はベガルタの攻撃が理想的に展開し、5-2で大勝。柏からの勝ち点3で得点、得失点も稼いだのは大きい。。

 ベテラン・経験者中心の布陣になって、去年と最も変わった点、それは精神的なタフさ。まさに、これが監督が求めていたものだろう。先制され、追いつかれても昨年までのようなドタバタがない。勿論、1-1の同点直後の集中を欠いた一瞬は明神にやられて一時はリードを許すが、そのあと引き締まって、また攻撃のリズムを自分たちの方へ引き寄せる。そういう意味ではシルビーニョと福永のワンタッチプレーや森のオーバーラップなどによって随所でリズムを変えていたのが光った。

 試合は、開幕戦以上に緊迫感の中で始まった。誰もがいうように今日の試合で本当にJ1のシビアさを痛感させられるのでは、という不安がよぎる。しかし選手はわがホームスタジアムは、それらをいい緊張に変えてくれた。選手を信じることだ。

 開始早々ベガルタがチャンスをつかむ、岩本のフリーキック、福永、小村のワンツーなどで攻め込む。しかし相手を崩すまではいたらず、5分過ぎからは柏の反撃を許す。12分、第1ポイント、DFの裏に出た黄がGK範夫と1対1、これを範夫が判断よく出て防ぐ。これで守りの緊張がとれたか。その後柏はサイドから早い攻め、ベガルタは中央でシルビと福永のパス交換からサイドの岩本へのロングパスなどでややベガルタ押し気味。それにしても、どうも柏は後半勝負と見ているのか抑えている感じもする、あまりプッシュはしてこない。

 25分、コーナーを取られ、中央の柳が体半分上に出る高い打点のヘッドで先制される。うーんこれは仕方ない。ラグビーのラインアウトのようなヘッドだ。交通事故だ。心配なのは選手が下を向いてしまうことだったが、それほどでもない。上位柏に1失点は織り込み済みというところか。ひるまず反撃、30分岩本がドリブルから、後ろから上がってきたフリーのシルビーニョにパス、これをシルビ簡単に決めて来日初ゴール1-1同点!先制されて沈んでいたスタジアムが復活、「やっぱり信じなきゃ」。。。しかし選手もこれでほっとして集中を欠いたのか柏の早い反撃に後手に回り、33分、サイドからパスを2列目の明神に通され、再び2-1とリードされる。

 それでも今日のベガルタは沈まない、次第に攻撃のリズムをつかみ出す。柏はまだ前半は「このくらいでよかろう」ペース。そして前半終了直前の44分、ゴール右のペナルティエリア横、角度の浅いところでつかんだフリーキックのチャンス、これを岩本左足で見事なシュート回転のシュート、ファーサイドのゴールポストに当たって入るファインゴール!2-2同点。マルコスは飛び込みに遅れたが、その必要もなかった。今日も岩本の大砲で形勢を逆転。第2ポイント。

 後半、勢いづいたベガルタは最初から攻める。岩本がコーナー、フリーキックでぼんぼんほうりこむ。このあたりから柏にやや集中切れ、凡ミスがで出す。57分、岩本から中央マルコスへ、DFを背負ったマルコスがワンタッチで山下に軽いパス、一瞬でDF裏に出た山下が、今日も相手キーパーに屈辱を与える股抜きシュートで3-2勝ち越し。山下、代表漏れの鬱憤を晴らし、次につなげる怒りのゴール。また、股だあ。しかし60分柏もカウンターからペナルティの「外」でPKを取る。???こんな形で追いつかれたら本当にイヤだ。しかし、ここでスタジアム一体の範夫コール。こんな激しいゴールを聞いたことがない。すると、柏の黄のPKキックはゴール右の彼方へ。第3ポイント。これで勝負あった。

 ここからベガルタはお祭り状態。ときおり柏に鋭くゴールに迫られながら、集中を切らさずに全員で守り、逆にカウンターから62分、相手を数で上回り、突破、マルコス余裕のシュート。。と、これはオフサイドで不運。しかし67分には、ゴール右のFK岩本が蹴ると見せてシルビーニョが絶妙のセンタリング、ゴール前で競り勝った小村がヘッド炸裂4-2。小村の得点がもう出ちゃった(笑)。終盤戦の最終兵器にしたかったのだが。あとはマルコス。

 前がかりの柏の攻撃を防いでカウンター攻撃をしていたベガルタ、72分今度は、山下からシルビーニョ、これをシルビ、ワンタッチでマルコスへ、マルコスDFの裏へ出て楽々ゴール!5-2トドメ。
 その後は、やや疲れの見えた選手をうまく交代して時間を使う監督。81分、村田に代え片野坂、85分マルコスに代え藤吉、89分森保に代え千葉を投入。

 さすがに柏の韓国代表ツートップは体も大きく、裏に出るスピードも速くて、そこにボールを出されると冷や冷やしたが、リカルド、小村など2人3人と早めにDF陣が囲んで危険を減らした。サンパイオには仕事をさせなかった。2失点のうち集中切れでの1点は反省材料だが、総じて全員でコンパクトに守り、そして期待の選手のゴールラッシュ!足にサポーターの森も痛みを感じさせないオーバーラップで相手のDFを混乱させた。そしてシルビーニョの動きに切れが出てきた。まだまだこのチームは進化するぞ!


主審:レイフ スンデル、シュート10-10、CK1-7、FK18-27。警告:岩本、柏:黄 
4 3月31日(日)14:00 ヴィッセル神戸 2v-1 仙台

山下 マルコス
 
岩本  福永
(山田)(藤吉)
森保 シルビーニョ 

村田 小村 リカルド 森
(片野坂)     
高橋
アン・ビリーバボー!苦戦を逆転して4連勝

先発はいつものメンバー。サブは小針、片野坂、千葉、山田、藤吉。

 「神の棲む杜」そうとしかいいようがない。勝利の女神には、仙台は、いごごちがいいらしい。
 19,115人の入場者。カズがいる。城がいる。岡野もいる。望月に平野も出てきた。そんな、神戸のかつての「スター」目当てで来た人も少なからずいただろう。しかし、仙台スタジアムで見られたものは、もっと素晴らしいもの、「ライジング・スター」。
苦しい展開でも下を向かずに耐えていれば必ずチャンスが来る。チームプレーの勝利、そんな言い古るされた言葉が現実のものになったことに、多くの人が胸打たれ、元気を貰って帰ることができたのではないか。。。

 試合開始前。昨日までとうってかわって、日中でも気温12度と、底冷えを感じるスタジアム。最上階までベガルタ色に染まったサポーターの声は、いつもより一段と強く響く。練習を始めた岡野が「なんじゃこら~」という感じで、度々ベガルタ・サポーターの方を振り向く。もう、術に嵌ったのか(笑)

 ところで、いつも見ている人なら分かると思うが、試合前のピッチ内アップの動きを見ていれば、選手の調子もだいたい察しがつくものだ。足首のけがを心配された岩本はさほど悪くない。山下もいい。しかし、マルコスは。。。。寒さのせいかシュートに切れがない。少々心配になる。

 試合は、けっして楽な展開ではなかった。これまでのホームの試合の中では一番厳しかったと思う。2週間の休みがあった割りには全体に動きがもうひとつで、けがの岩本も思ったより動けているのだが、さすがにこれまでのような鋭いキレはない。また、前述のようにマルコスのシュートが、絶好時よりワンテンポ遅く、足元にシジクレイが抑えにきて、2点ほど損をした。また全体に、これまでなかった集中切れがあって、ミスもやや目立った。特に前半は神戸が思い切り押し上げて、仙台のお株を奪う早いプレス、マルコスはオフサイドにかけるという作戦をしかけてきて、まんまと嵌ってしまった。

 前半はお互いに早い攻めで「なぐりあい」の展開から、シュートが決まらず次第に神戸のペースになるが、ともにDFがしっかり守って得点にはならない。
 しかし25分、神戸のコーナーキック、ノリオがセーブしきれず、球が浮いたところをアタリバになだれこまれて失点、先制を許す。だが、比較的早めの失点だったことが幸いして、「これから」という気持ちが選手に見える。ばたばたすることなく、すぐ中央から山下~マルコスで反撃。リズムを取り返す。
 30分過ぎからは膠着状態からややベガルタペースへ。神戸も強引に押し込んではこない。ベガルタDFはこれまでの試合ほどの集中はないものの、粘り強く二人、三人で相手FWを囲んで決定機は作らせない。

 後半。開始早々、ペースを取り戻すべく活躍したのが、村田。思い切りよくオーバーラップして、ベガルタペースを作る。神戸もやや守りに入って引き気味。53分にはマルコスにフリーのチャンスがあったがキーパーに阻まれる。
 60分には、曖昧な判定でベガルタの間接フリーキックの場所がなかなか定まらない。結局、ゴール右すみから、ちょん出し、岩本のキックは見事な弧を描いてファーサイドのバーからゴールライン直上に落下、惜しいシュート。しかし、ここでの数分のロスタイムが後で効いた。神戸も集中がとぎれたかもしれない。

 その後もサイド攻撃から反撃するベガルタ、しかし引いた神戸の壁はなかなか破れない。65分、岩本から山田。75分福永から藤吉。監督も勝負に出たが、神戸は攻めさせておいてはカウンターで追加点を狙う作戦で、中盤でパスをカットされ逆襲にひやっとする場面が多くなる。ここは、ノリオと小村、リカルド、森や村田も踏ん張って追加点は許さない。

 そして時間がたつにつれ、神戸は1点に逃げ切れると思ったのか、ボールキープでの時間消化作戦に出てきた。これがポイント。ベガルタもかなり消耗していたが、マルコス、山下が何度も思い切ってライン突破を試みる。神戸はクリアで逃げる。そして、ロスタイム。

 審判が時計を見出し、もう時間がない。ロスタイム5分。マルコスの、なんでもないセンタリングに、魅入られたように手を出す神戸DF。ハンドでPK

 それまでの15分、1点ビハインドを負って、ボールを回され始め嫌なムードの終盤にも、諦めず延々と続く、「セ・ン・ダ・イ、レッツ・ゴ-」のコールに「神」が振り返ったのか?それとも諦めずに押し込んだ選手たちのプレッシャーが呼び込んだのか。奇跡のようなチャンス。スタジアム総立ち。うなるコール。

 願いと祈りの中、これをマルコスが簡単に決め、同点。そして、90分の笛。
不調でもチャンスをもってくる男。そしてサポーターに愛される男。そこに恩寵が与えられても何の不思議もない。
 
 延長戦。激しくスタジアムを揺るがすコールに、もう、ひとつの結果しかなかった。レイソルがそうだったように、スタジアムのうねりが二重三重に相手チームのやる気中枢を萎えさせる。95分、村田から片野坂。

 そして100分、森保からサイドチェンジのロングボールが、前方の山田へ。これを山田が、ゴール左からファーサイドへセンタリング、山下、DFを引きつれ飛び込むが、いかんせん角度がない!しかし、山下、これを見事にヘッドで逆サイドにねじ込む。逆転Vゴール。開幕4連勝。山下3試合連続ゴール。見たかトルシエ!

 苦しい展開を総力で乗り切った。つきもある。大きな1勝。しかし相手も研究してきている。集中が切れると、とたんにつけこまれる。が、総合力で目途はついた。あとは控えの選手の奮起が欲しいところ。来週カシマでも堂々と戦い、一泡吹かせよう。


シュート数:14-12、フリーキック:34-30、コーナーキック:10-5.。主審:濱名哲也、警告:森保、神戸:三浦、土屋、西谷、シジクレイ。
5 4月6日(土)15:00 鹿島アントラーズ 2-0  カシマ

山下 マルコス
  
岩本  福永
(藤吉)(山田)
森保 シルビーニョ

村田 渡邉 リカルド 森

高橋
慢心するほど愚かでない。萎縮するほどひ弱でない。
チームプレーで5連勝。

 試合開始3時間前に、たどりついたカシマスタジアム。さすがにこの時間では観客も少なく、寒い。2階席のフラッグで、風がバックスタンドからメイン側に吹いていると分かるのだが、ピッチ上の各コーナーフラッグを見ているとみんなゴール方向になびいている。この巨大なスタジアムでは風が巻いているらしい。

 さて、試合開始が近づくと正面ゴール裏に鹿島サポーターの大きな壁。4000人位か。そして巨大フラッグ。さすがだ。しかし仙台から駆けつけた我がサポーターも3000人近くはいたと思う。「隔離エリア」とおぼしき所も開放せさるを得ないほど、どんどん黄色に(正確にはベガルタ・ゴールドだが)染まっていく。アウエーの不利を吹き飛ばす勢いに、前半、ベガルタサポーター側にいた鹿島GK曽ケ端は、完全に影響を受けて、ハンドリングが怪しかった。

 先発はけがの小村に代わり、背番号2渡邉がJ1初見参。そのほかはいつものメンバー。サブの小針、片野坂、千葉、山田、藤吉も同じ。渡邉の起用に一抹の不安の声もあったが、杞憂だった。ゴール前では184cmの高さを生かして制空権を握り、柳沢や鈴木の侵入を完全な形では許さなかった。全く問題ない。そして足首痛で出場が危ぶまれた岩本。いったい、どこが痛いの?(笑)。

 前半15分くらいまでは、互いにカウンターの攻守の切り替えが激しい展開。鹿島が小笠原などからパスを左右に散らしてくれば、ベガルタはサイド攻撃から相手ゴールをえぐる。けっして負けていない。しかし、次第に鹿島が中盤の個人技でボールキープし、前線にスルーパスを供給、ベガルタは一人抜かれれば、二人、三人としつこくついて、完全にはシュートコースを空けない。

 今日のノリオは忙しい一日だったが、完全に振り切られたシュートはそれほどなかった。ゴール前のリカルド、渡邉がしつこく体を入れ、こぼれ球は村田や森が拾う。そして、危険地帯にはいつも森保が。。。相手シュートのほとんどコースを限定していた。それにしても、めまぐるしい展開に時間がたつの早い。あっという間に前半終了。

 後半。64分福永から山田。後半も70分ころまでは鹿島の個人技がさえ、ボールは支配されるが、ラストパスは抑え、ゴール前では、リカルド、渡邉ががんばりシューターに体を寄せる。山下が前線から運動量豊富に味方ゴール近くまで守備に戻る。そして、75分、耐えたベガルタはついにシルビーニョからのロングパス一本、岩本が走りこんでゴールライン付近まで一気に攻め込み、中央に走りこんだマルコスへどんぴしゃのパス。マルコスをこれが強烈にヘッドでたたきこんで、先制!去年のホットラインが復活。

 その後やや守備的になったベガルタに鹿島は小笠原にボールを集めるが、既に激しいマークに疲労の様子。思い通りパスが出せない。それではと、秋田や奈良橋が上がってくるが、DF陣が攻撃に時間をかけさせて、ラストパスに対応できる時間を作る。鹿島が前がかりになったところで、85分、マルコス、山田のカウンター、山田粘ってセンタリング、これをマルコス今度はボレーでたたきこんで2-0。その後は、89分に岩本から藤吉に代え、王者鹿島のお株を奪う、時間稼ぎの「ボール回し」まで出て逃げ切った。

 個人技では切り返し、チョップキック、正確なサイドチェンジと、技を見せる鹿島であったが、ベガルタのプレッシャーに、ところどころパスミスが出て、シュートでは「ふかし」の連続で枠に行かない。何か集中を欠いているように見えた。これこそ「黄色の壁」の効果か。得点こそ岩本、マルコスの派手なホットラインではあったが、チームプレーで、守り勝った試合と言えるだろう。

 サッカーをする喜びに満ち溢れた高いモチベーションの選手たちのプレーを見ると、こちらもうれしくなる。個々の選手の技術では相手の方が上の面もあるかもしれない。しかし、コンパクトに全員で守って耐え、岩本を中心とするチャンスメークで得点機を伺う戦術は徹底していて、大きな破綻は起きそうもない。ただ、岩本が言っているように、この勝ちを無駄にしないために、もう一度引き締めて、次も取りたい。

シュート数12-17、CK6-9、FK21-21。主審:奥谷彰男。警告:森保、森、マルコス、リカルド。鹿島なし。

 (番外)それにしても27,000人も入っても大きなスタジアムでは空いて見える。そしてご多聞にもれず交通渋滞。いずこも抱える問題は同じようだ。ま、もつ煮を食って勝利に酔う展開なら渋滞も耐えられるが。
6 4月14日(日)15:30 浦和レッズ 1-2v 宮城スタ

山下 マルコス

岩本  福永
   (山田)
森保 シルビーニョ 

村田 小村 リカルド 森
(片野坂)     
高橋
宮城スタジアム38,000人場なるも、完敗。お勉強。

 Vゴール負けだけど内容は完敗。永遠に連勝は続かない。いつかは授業料を払わなくてはならない。負けに一切の弁解は不要。弱いから負ける。ただしその時点での話だ。負けた理由をプレー以外の事に転嫁してもそれで勝ちに変わるわけではない。だらしない相手に授業料をぼったくられるなら問題だが、強力ツートップを軸に勢いの出てきたチームに課題を教わった訳で、渋々だが勝ち点2だけ納めて、敗戦から学べばいいのだ。。。。


 初めての宮城スタジアム開催。ベガルタ史上最多入場者38,159人。開場2時間くらい前にシャトルバスに乗ったが思ったよりスムーズ。ただスタジアムにゲートの標識がないので、思い切り遠回りしてしまった。検査所の奥ではなく、並び始めるところにゲートの案内板が欲しい。

 スタジアムはアウエーゴール裏以外はほぼベガルタカラー。宮城野競技場で観戦していた頃が嘘のようだ。しかしそれに驚嘆しなくなるほど、慣れっこになっている不思議。浦和のサポーターも3000人超はいるはずだが、このスタジアムでは少なく見える。ただ声は揃っている。これは厄介。

 先発はいつものメンバー。サブは小針、千葉、山田、片野坂、藤吉。試合は、立ち上がりは互いに様子見の状態から、次第にツットとエメルソンが裏に仕掛けてくる。彼らに気を取られていると、サイドから抉っての攻撃もあり、緊張感のある展開。ついに10分、リカルドがオフサイドのセルフジャッジで、一瞬気が抜け、エメルソンに抜かれ、フリー許し失点。分かっていながら、GKノリオもこれまでにないスピードで飛び出しのタイミングを失していたように見える。

 警戒していた相手にやられ一瞬意気消沈するが、幸い早い時間帯だったので、逆に切り替えることもできた。なんとか相手FWの揺さぶりを凌いで、20分、早いパスを回転しながら受けた山下がゴール前に放り込み、そこに、今日一番燃えていたであろう福永が飛び込む。福永がキーパーともつれ、ゴールががら空きになったところへ詰めていたマスコスが悠々決め、同点1-1。ここまでは、これまでの試合のような展開で、苦しみながら相手の攻撃をしのいで、逆転して勝つという展開に行きそうな雰囲気だった。

 しかし25分、福永が左膝を痛めて退場するアクシデント(おぶって貰って出て行ったので、かなりの傷のように見えるが)。これで30分山田を急遽投入する羽目に。攻撃では活躍する彼だが、正直、守れない。福永が運動量豊富に中盤でのパスカットに動くことによって、シルビーニョや岩本に攻撃する余裕が出てくるのだが、この布陣では、まず守り優先にせざるを得ない。これがどう影響するか。

 ところが、思いのほか、この時間帯はベガルタにも早めのプレスが出始め、ようやく反撃の形が出てくる。森のオーバーラップからのチャンスメーク、38分には山田、森、シルビーニョ、マルコスと華麗なワンタッチパスがつながるが得点まで至らない。その後は一進一退のまま前半終了。

 後半は浦和のサッカーばかり。相手2トップを恐れるがあまりDFがずるずる下がり、サイド攻撃もできない。中盤が空いたところで、セカンドボールをことごくとられ、浦和はサイドに振ったり、エメルソンを裏に走らせたりと、やりたい放題。中盤で福永がいなくなって、辛うじて防いでいた壁が崩れた。

 それでもなんとか最終ラインで、リカルド、小村が体をよせ、中央からのシュートをさせなかったので、シュートコースが限定され、ノリオがセーブにつなげた。しかし終盤になると異議を厳しくとる審判の判定にマルコスが切れ気味。足を蹴られてスピードが出ず、いらいらをつのらせる。エメルソンを止めた村田のようなファールは仕方ないところだが、審判の性格を見抜いて無駄なイエローは貰らわないようにしないと。浦和もいっぱい貰っていたけど試合がそんなに荒れていたわけではない。

 75分頃にはシルビーニョが孤軍奮闘、守りにパス出しにと動き回るが、押し込んでくる浦和には、一人では厳しい。ときおりベガルタがカウンターを仕掛けるが、疲れからかシュートまで至らない。岩本も前半こそ得意の角度で惜しいフリーキックがあったが、後半はシルビにキックを任せ、動きもいいときのような切れがない。足首はまだ良くないのだろうか。

 次々に中盤でボールを拾い、エメルソン、ツットを潜りこませてシュートしてくる浦和だが、完全にはベガルタDFを振り切れず、角度のないせいか決まらない。厳しい状態ながら同点のまま、延長へ。ベガルタの方が消耗が激しい

 延長、村田に代わり片野坂。サポーターの連続声援を受けて、ベガルタは攻撃へと前目に言っていたが、10分、カウンターから裏に出され、DFが、かわし切れないところ、後ろから上がってきた福田に決められ、今季初黒星。

 苦しみながらも一度は同点に追いつき、シュートをぼこぼこ打たれながらも、例のツートップを後半は見た目ほど完全に自由にさせてはいなかった。マルコスもなんだかんだいって4試合連続ゴール。(前半のヘッドが決まっていれば、タラタラ)ミスをつかれての敗戦。負けは悔しいけれど、この授業料は無駄にはならないだろう。課題をチェックして2ndは3倍お礼をつけてお返ししよう。


 さて、次節、FC東京戦こそが、選手も応援する側も真価が問われる。負けた後の試合でどう立て直していくか。マルコスは警告累積で出られない。福永も無理だろう。岩本も体調は不十分。相手もケガ人続出のようだが、ベガルタの緊急事態には違いない。これまで控えに回っていた選手がアピールする場でもある。苦しい時なりの戦い方はあるはず。ましてホームなら。


シュート数9-18、CK4-6、FK21-31、警告小村、リカルド、村田、シルビーニョ、マルコス 浦和:路木、アリソン、エメルソン、鈴木、井原 主審:レイフ スンデル
7 4月21日(日)15:00 FC東京 3-1 仙台

山下 藤吉
  (財前)
岩本  山田
   (村上)
森保 シルビーニョ 

村田 小村 リカルド 森

小針
耐えて勝つ、小針の守り、山下2発で3-1

藤吉、小針、山田の先発は予想どおり。
サブは前川、財前、村上、千葉、片野坂。FC東京はジャーン、ケリーが先発。

 桜も散って初夏に向かおうかという頃合なのに薄曇の空に思ったほど気温が上がらない。それでも観客は18000人超。「7試合で2つ勝てば上出来」と言っていてたチェアマンも来場。このスタジアム、このチームを見てどんな感想を持って帰ることになるのか。

 試合は立ち上がりから中盤でボールを拾われ、ドリブルで侵入され防戦一方のベガルタ。小針がポジショニングの良さと判断のいい飛び出しで、押されながらも安心感をもたらす。アマラオはリカルドが押さえ、抜かれても諦めずについていき、完全にフリーではシュート打たせない。それでも、FC東京が次々と裏へボールを出し、ぐいぐい押し上げてくる。
 ベガルタ側は中盤より前へ進めず、シルビーニョ、岩本を封じられてほとんどシュートのチャンスすらない。ルーズボールはことごとく拾われ、早い球回しについていけない。しかし、何回か作られた相手フリーのピンチも小針のタイミングのいい飛び出しで防ぐ。ゴールキックは左右両足同じくらい飛び、安定感がある。これは範夫もうかうかしてられない。
 前半終了間際のピンチ、フリーで打たれたシュートもセーブ、そしてコーナーからの相手ヘディングシュートはバーに当たり救われる。着実なプレーがツキも呼び寄せたか。

 後半も同じように立ち上がりからFC東京が押し込んでくるが、前半ほどのスピードはない。流石に疲れてきたか。
 56分、ベガルタ藤吉に代え、ついに財前登場。ベガルタサポーターが最も見たかったシーンが実現した。山下のワントップに。しかし、まだ試合は劣勢、また財前自身どれだけ動けるのか。彼が入ってベガルタも反撃の動きが出てきた。次第にシルビーニョから左右にパスがで出す。財前もボールにからめないまでも、相手DFを引き付け次第にスペースが出来てくる。

 65分、この試合唯一の左コーナーキックのチャンスにシルビーニョが蹴り、小さくカーブを描いて攻撃参加していた小村にどんぴしゃ!これを小村ループ気味のヘッドで柔らかくゴールに押し込む。先制!相手の猛攻に耐えていた彼が貴重な先制弾。マルコスがいなくともヘッドで点が取れるんだぜ~。(練習通りだそう。1回で決められる二人がいるという底力)

 これで一気に押せ押せムード。FC東京もカウンターで互いに中盤省略の激しい展開いになってくる。ベガルタの中盤も疲れてプレスにいく余力がなく、しばしばピンチを招くが勢いづいたDF陣がリカルド、小村を中心に守る。相手も前目になりDFの裏にスペースができる。こうなるとベガルタの形。

 70分、自陣で相手パスカットしたリカルドが持ち込んで一人残っていた山下へ、山下DFをスピードで抜き去りフリーになり、豪快に振りぬいて2点目。場内興奮。この後久々に山田、財前、岩本の去年のヒーローが華麗なパス交換からチャンスを作るが決まらず。財前はまだ完全とはいえないが、時々起点となるプレー。なにより相手DFを引き付ける。ゴール間近でのシルビーニョとのワンタッチプレー。財前の調子が早く上がってくれれば、最強の攻撃陣ができるんだが。。。。

 84分、諦めないFC東京の、前へ前への攻撃についに1点失い2-1。そのキックオフ直後、85分、山田のクロスから岩本が左サイドをフリーであがり、詰めていた山下にパス、山下うまくボールをコントロールして倒れ込みながらキーパ-の逆にシュート。ころころところがって相手ゴールに入る3点目は、FC東京の戦闘意欲を失わせるのに十分だった。89分足を痛めた山田に代わり村上。村上も短い時間ながらJ1初登場。本格的なデビューはこれから。財前も出るだけで喜ぶべき選手じゃない。本番は7月以降だ。

それにしても後半のきつい時間帯でも、球際のスピードで勝負できる山下。今、日本で最も点が取れるFW、それは山下。彼を試すことなしに代表を決めてはならない。


シュート数11-15、FK20-17、CK1-9 主審:片山義継 (警告)ベガルタ:山田、FC東京:戸田、ジャーン

 前節宮城スタジアムで、「かつて」苦手だった浦和に今季初黒星を喫し、今回は不調とはいえ、「これまで」苦手だった相手で入場者数も心配だったが、全然ノープロブレム。

 大きく破綻しないDFが耐えて相手の疲れを待ち、どこからでもパスを出せる攻撃陣に強力なFWで勝負する。しかも財前が加わればまだまだ攻撃陣は進化する予感すらある。あとは守備的MFを補強してあらゆる場合に対処できるようにすることぐらいだろう。不調な相手には五分以上に渡り合えると言える。6勝1敗は勢いだけの数字ではない