昇格スペシャル

祝!2002 J1昇格


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「ベガルタ仙台J1への道」完結。新たなる道へ

2001年J2最終節観戦記

[1回戦][2回戦][3回戦][4回戦]
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仙台の河北新報社から昇格記念のグラフ誌「road to J1 ベガルタ仙台 決めた昇格!」が発売された。

2001J2「それでも勝つ」 のシナリオ

 勿論、シーズン最初から昇格の確信があった訳ではない。願望はあったけれど。シーズン前、監督は「今年は3年計画の2年目。今季3位以内を目標とする。」といっていた(本心はどうか分からない)。正直がっかりした。3位が目標ならそれ実際は以下になってしまう。昇格を狙って初めて3位、4位になれるのでは、と考えていたからだ。
 ...しかし伏線は、我々が気づかぬ間に静かに張られていた。

 9月になっても、夏休みをとれなかった私は、いろいろ楽しませてくれたベタルタの最終戦を応援しに、11月18日は京都に行くことを決めた。そして、せっかく最終戦に京都に行くのに、消化試合なら、つまらん。ベガルタが主役でなくても、とにかく昇格争いに影響を与えるような最終節になって欲しい、と邪悪な考えを持っていた(選手の皆さん、すいません)。当然、9月8日の大分戦の前までは、その主役がベガルタ自身になることは、かすかな願望でしかなかった

 伏線その1:マルコスの加入 
 あたり前といえばあたり前だが、清水監督がマルコスを連れてきた時点でもう、技あり!
マルコスの加入による前半戦の大量得点が最後、総得点で山形に大差をつける原因となり、最終節、負けてもまだチャンスがある状況を生み出した。また最後の試合で大量得点も全く不可能ではないという気持にさせた。

 伏線その2:大宮の驕り 
 対大宮戦前の22節、まだ半分しか対戦を消化していないのに、当時、首位を走っていた大宮は、公式サイトで「大宮に死角なし!次節で仙台に引導を渡す」とサポーターみたいな事を書いていた。確かにシーズン前、昇格有力候補のひとつであり、バルデスの加入で順調に勝ち星をあげていたが、まだ、前期しか過ぎていない時点で、これだ。ベガルタは当然闘争心を燃す。23節はロスタイムに岩本のゴールで追いつき、大宮と引け分け、意地を見せる。大宮はバルデスのケガもあるが、この「○○チームには負けるはずがない」という慢心がチームに悪い結果をもたらした。大宮にスキあり。しかしまだこのときは、最後は大分あたりが出てくるのでは、と思っていた。
23節、大宮勝ち点51、京都45、大分43、仙台42

 伏線その3:賀谷主将の宣言
 大宮に離されていた8月、DFの賀谷主将は、ある雑誌に「今年絶対優勝するんだ、という強い気持で戦っていく」と力強く宣言していた。選手には手応えがあったのだ。今年は3年計画の2年目。どうせ、無理。来年昇格すればいいさ、なんて思っていた訳ではなかった。勝利に向けての強い意志がなければ、ボディコンタクトのある激しいスポーツで、勝利していけるわけがない。これを読んだ時、本当にうれしかった。

 伏線その4:大分の焦り 
 31節、9月8日の大分戦、大分は一人、ベガルタは3人の退場者を出し、その点ばかりが注目されたが、私は別な考えを持った。なぜ、スピードのある大分があんなに焦って後ろからチャージしたり、判定にしつこく抗議したりするのか?いつものサッカーをしてれば、ベガルタには歩がいいはずなのに。
 大分は開幕当初から、これまでの戦績により、昇格候補の一番手に上げられ、マスコミも「3年越しの悲願達成」の見出しを開幕前から想定していたに違いない。大分サポーターも今度こそ、という思いが当然あり、これは静かなプレッシャーとなって、開幕当初から、じわじわと選手に効いていたと思う。それが形になって見えたのが、この試合。「こりゃ、大分も鉄板ではないぞ」。終盤までついていけば、ベガルタにもチャンスがあるのではないか?最終節に持ち込めるぐらいついて行けば。ほとんどの人が退場問題で熱くなっている時「京都で素晴らしいことがおきる」と、シナリオが静かにスタートした。ベガルタは脇役ではなく、主役になれるぞ、と。
勝ち点京都62、大分62、大宮57、仙台55。

 伏線その5:どんぐり 
 2001年のJ2は後半戦にきて大混戦状態。どのチームも抜きんでていたわけではない。勿論、京都もベガルタも。これは、終盤になって、上位のチームが残りゲームを全勝して抜け出る、ということがあり得ない、ということ。自分のチームに起きたことは他のライバルチームにも起き、その逆も真。
 37節、首位京都が横浜FCに敗れ、勝ち点70で並んだ仙台にいよいよチャンスが出てきた。大宮、大分は68、山形67、新潟64。それいけ、有利だと思っていたら、最終盤にベガルタは連敗。見事にどんぐり状態を証明してしまい、苦しむことになる。しかし、同時に京都も山形も最終節にどういう結果だったかはご存知のとおり。

 ベガルタは39節までに、新潟、山形、大分とライバルに連勝した後、大宮にもきわどく引分け。私は、この時点で最終節、京都に勝利すれば昇格どころか自力優勝も狙える勝ち点計算にたって、少し舞い上がっていた。ほとんどの人は、「強い京都に届かなくても、これなら、2位以内の昇格はなんとかなりそうだ」という思いをしたに違いない。しかし欲張りな私は、「何いってんの!昇格でなく優勝を狙わなくてどーする」と吼えていた。チャンスがあるのに、なぜ、優勝を狙わない、と。それで「昇格」の文字を使わず、可能性が消えるまで、優勝優勝といっていた。
39節勝ち点、京都76、仙台74、山形72。

 そして40節水戸、41節横浜FC戦と苦しみながらも90分勝ちして、首位。これなら残り甲府、鳥栖と勝てば、最終節までいかなくても決まるかも。...甘い!シナリオにない。調子に乗りすぎていた。
勝ち点仙台80、京都79、山形76。

 伏線その6:負けてもツキがある。勝ち点2つのプレゼント
 42節、甲府にまさかの0-3負け。ショック!京都は昇格決定。勝ってにしろ。これで全てのシナリオが破り捨てられたのか!おっと、山形が新潟と延長までいったぞ!勝ち点1の塩が新潟から届いた。「まだツキがある」。シナリオはまだ、有効だ。
勝ち点京都81、仙台80、山形78、大分74。

 ついで、43節ホームでの延長Vゴール負け。オー、マイ、ゴッド!しかし、山形、10人の水戸相手に90分で勝てず、また延長へ。水戸のGK本間がハンドまでして防いでくれたぞ。水戸からも勝ち点1の塩。優勝の目はなくなったが、勝ち点80で山形と並んだ。得失点は山形が2点上、しかし総得点では仙台が16点も上回っている。計算、計算。おお、90分、延長、引分け、負け、どの場合でも、昇格できる可能性があるぞ!
 本来なら、勝ち点でも山形が2つ上回り、最終節、山形は引分けで十分、ベガルタは90分勝ち以外にチャンスがない、という条件だったはずだ。それが、山形も90分勝ちをしないと危ないという条件に変わった。しかも、山形は、ここ2試合延長になって、もうひとつ意識下で、得点力に不安があるはず。負けなくても、延長か引分けになる確率が高い。
勝ち点京都84、仙台80、山形80、大分77。

 この節、京都は優勝決定。おめでとさん。これで、優勝昇格全てを手に入れた。ガツガツ戦わなくてもいいんじゃない?(実際は最後まで苛めてくれた。ほんとにありがとよッ。心臓病になったら、サンガとノリオのせいだ!)
あとは....川崎に、山形を1点差以内に抑えてもらう、いや、何とか延長までもっていってもらうことだ。アベヨシなんとかしろい!いえ何とかお願い申し奉ります。ドラマを決めるには、全ての役者がシナリオ通りに動かなくてはならない!(超身勝手(^^;来年はフロンターレも応援します)。

 43節、ホーム最終戦のVゴール負けのあと、ふだんは試合前に勝敗のことを言わない監督が、珍しく「京都戦は勝ちに行きます」と力強く宣言した。つまり結果はともかくチャレンジするという宣言。開き直りとチャレンジ精神があれば、ガツガツして勝つ必要のない京都を上回れるのではないか....。同じタイプのチーム。1勝1敗1引け分けの対戦成績。まったく歯が立たない相手ではない。
 とにかく、周りの人が暗い顔で諦めていくのが不思議でしょうがなかった。まっさきに開き直れた。選手だって同じだろう。

 伏線その7:プレッシャーの移動
 42節の甲府戦はプレッシャーの恐ろしさを教えてくれた。次ぎの鳥栖戦では、ここで勝てばいいや、負けるはずがない、という考えが油断となって悪夢を招いた。諦めの声。マスコミのバッシング。某スポーツ紙は、京都戦も、「仙台ガチガチ、京都の勝利確実」と書いていた。あとで大恥もかくぜ。もうだめだ、の合唱がおきればおきるほど、山形有利の報道があればあるほど、ベガルタのプレッシャーはほどけ、かえって山形の上にのしかかる。シナリオが動き始めた
 プレッシャーは、「負けたらどうしよう」という不安、「負けるはずがない」という守りにはいった傲慢さが招くもの。最終戦、周囲の期待も変化している。「絶対昇格」から「とにかく全力を出せ」にサポーターの声も変わっている。ベガルタのプレッシャーは溶けている。

 私の場合、首の皮一枚程度のシナリオへの信頼が、この時点で確信に変わっていた。間違いない。シナリオ通り、ドラマが起きる。奇跡ではない。筋書きだ。そして主役になれる選手がベガルタには揃っている。
 さらに西京極に着いて思わずにんまりしてしまった。サンガ・スタッフのウィンドブレーカー、ベガルタ色。審判団の上着の色もベガルタ色。なんだ、みんな応援してるんじゃないか!

 ⇒最終節観戦記

 結果はご存知のとおり。私の京都行きを最高のものにするため、勝利の女神が用意してくれたシナリオ通り。
え、嘘、嘘。失礼致しました。冗談だってば。すべては皆さんのおかげです。
(2001.11.22)