「ゲゲゲの女房」の生きる力

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もう出版されてから時間が経っていますが、NHKの朝ドラが終わって、しばらくしたところで、改めて原作の「ゲゲゲの女房」を読みました。

水木しげる先生の、凄まじいまでの漫画制作にかける情熱と、それを支えた妻、武良布枝さんの二人三脚が描かれています。

著者布枝さんは謙遜して、自分は見守っていただけだ、と書いていますが、米びつの底がみえるような生活を、何とか切り抜けた新婚の数年間は、今の人間には想像できないものであったでしょう。肝がすわっていなければ、そこで潰れている。

さらにドラマではなかったですが、極貧なのに、軍人恩給は全部親元に送っていたということです。その上、ちょっと原稿料が入ると、自分たち食料だけでなく、親が喜ぶものを送ったりする生活。

水木先生の創作パワーは、片腕を失ったものの、玉砕のラバウルの密林を生き抜いた頑健な肉体と、若くして聖書や哲学書に通じていた精神力なのでしょうが、そこに、大人しく見えるが、女性ながら肝が据わった著者が加わって、より強化されたものと思います。

人はパンのみにあらず。しかし、絶対にパンを逃さない生き抜く力、そして苦しい中にも息が抜けることが必要と教えられます。(食うや食わずのとき、二人で軍艦模型作りに熱中。不思議な夫婦です)

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今更NHKの朝ドラなんて、という人も多いと思います。

実際のこの「ゲゲゲの女房」が始まった時も、歴代の最低視聴率でのスタートだったそうです。確かに、昭和初期の田舎の頑固オヤジ、おとなしいヒロインの子供時代、力み気味の役者のセリフ使いに、「また同じか」と自分も思ってしまいました。

しかし、いよいよヒロインの「女房」大人時代になり、松下奈緒が登場、戦争で片腕を失いながら妖怪漫画を描いている水木しげる(向井理)に嫁いで、島根から上京し、世間が高度成長に向かおうとする昭和30年代、それとは関係なしに「貧乏神」に取り付かれたような、米びつの底が見えるような、夫婦生活を始めたあたりから、山田むつみの脚本が乗ってくるのです。

けなげとか、誠実とか、他人をも思いやる気持ちなど、もう死語になってしまったような場面が自然に描かれています。「人はパンのみにあらず」が、ちりばめられているのです。勿論、パンも必要なので、いろいろ知恵を絞って生き抜いていく。おどろおどろしいけれど、人のこころを捕らえる漫画を精魂込めて書く姿。そして厳しいクリエーター魂。全部今に通じる話です。

水木しげるさんの漫画


記者クラブ崩壊?

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上杉隆さんの「記者クラブ崩壊 新聞・テレビとの200日戦争 (小学館101新書)」を読みました。

雑誌の連載に加筆したもので、例によってタイトルは派手ですが、状況は閉塞感いっぱいというところのようです。強力な「官と報」のタッグは、簡単には崩壊などさせない、とがんばっておられるようです。

内容は、去年の民主党政権誕生後から、主に今年の1-3月までの、官庁の記者クラブとそのオープン化を巡る、フリージャーナリストである著者の対立を記録したものです。4月には出版されていますから、ずいぶん準備がいいなという気はします。

だいぶ以前から問題になっていたのに、いまだに開放されていないとは驚きですが、既存大手マスコミは、インターネットへの対応とか、営業強化の前に、この問題をクリアにしないと何も批判できなくなるのではないでしょうか。

さて、本書の中で、オープン化に対するアンケートが載っていますが、部数の少ないところは、ちゃんと答えているのに、朝日、読売、日経は白紙回答。



NHKドラマ「外事警察」、渡部と余さんに注目

昨年末、圧倒的な展開力と、渡部篤郎余貴美子さんの卓越した演技力で魅せてくれた、NHKのテレビドラマ「外事警察」が、本日3月24日夜10時から、総集編の形で再放送されます。

「リミット 刑事の現場」あたりから、綺麗事抜き、暴力ありの「リアル」な、凄味のあるドラマを放送しているNHKですが、この「外事警察」も、ハードボイルド、スパイ、2重スパイの極地を行って、楽しませてくれます。

「いったい誰を信じたらいいのか」、その不安感。ドラマに引き込まれるでしょう。


さて、様々なドラマで、いかれた人物の役をやっている、主演の渡部篤郎ですが、映画「 重力ピエロ」あたりから、抑えに抑えた演技で、逆にぞっとする恐ろしさ、憎たらしさを呼び起こす好演を続けています。

遠藤憲一のような、見るからにヤクザな男という役者さんもいいですが、本当の「ワル」、いや、「ワル」じゃないのか?と、惑わすところが渡部の真骨頂。総集編で、どこまで伝わるかわかりませんが、是非注目して下さい。

竹内まりや「返信」

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最近ツィッターを始めたので、毎日のように「返信」という文字を見ます。

先日、ラジオを聴いていたら、竹内まりやさんの特集をやっていて、偶然「返信」という曲が流れてきました。(まりあって誰)

同じメロディーを繰り返しながら、徐々に盛り上がっていく編曲は、だんなのタツローでしょうか。いい感じですね。

ググると、PVのデータがまだあって、なんと上野樹里さんが出ているじゃありませんか。曲調とイメージビデオはあまり内容的にシンクロしてないが、許す。楚々とした役でも、やっぱり、ええのう(笑)

ラジオで聞いていた時、歌詞に引き込まれていきました。
特に「夢半ば燃え尽きたはあなたの分まで、生きていく・・・」のところで、うるうると。いろいろな人の事が頭をよぎった。