記者クラブ崩壊?

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上杉隆さんの「記者クラブ崩壊 新聞・テレビとの200日戦争 (小学館101新書)」を読みました。

雑誌の連載に加筆したもので、例によってタイトルは派手ですが、状況は閉塞感いっぱいというところのようです。強力な「官と報」のタッグは、簡単には崩壊などさせない、とがんばっておられるようです。

内容は、去年の民主党政権誕生後から、主に今年の1-3月までの、官庁の記者クラブとそのオープン化を巡る、フリージャーナリストである著者の対立を記録したものです。4月には出版されていますから、ずいぶん準備がいいなという気はします。

だいぶ以前から問題になっていたのに、いまだに開放されていないとは驚きですが、既存大手マスコミは、インターネットへの対応とか、営業強化の前に、この問題をクリアにしないと何も批判できなくなるのではないでしょうか。

さて、本書の中で、オープン化に対するアンケートが載っていますが、部数の少ないところは、ちゃんと答えているのに、朝日、読売、日経は白紙回答。



どうみても、特定の新聞社やテレビだけ所属する記者クラブが、他のジャーナリストを排除する事は、「国民の知る権利」とは相反するし、記者クラブの経費を役所に持って貰うのも、国から営利企業である特定マスコミ各社に対する利益供与で、税務や、独占禁止法に引っかかってこないのでしょうか。

法律違反でなくても、報道の自由が、既存報道企業の利益を守る自由と、すり替えられていると、思われても仕方ない現状。

オープン化できない理由とされる、セキュリティや場所の問題、フリーの人の質も問題、全て本書の中で回答され、それらを理由にはできない。何より西側欧米はもとより、お隣の大国よりオープンでない、というのも情けない。

ライバル他社の不祥事には、小さな事でも、しっかり記事にするのに、利害が一致すると、「知る権利」「報道の自由」に関わる大問題なのに、一致して記事にしないのは、いずれ自分の首を絞めることになるでは、と思います。

とにかく、記者クラブの閉鎖性について、テレビ、新聞ではまず報道されないので、とりあえず、この本を読むところから、問題を知ることになります。反論があるなら、それを紙面に掲載する。または明確に対応策を示していかないと、ますます新聞とテレビの報道から読者・視聴者は離れてしまうでしょう。