言葉のおもてなし

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NHKの「鶴瓶の家族に乾杯」は、鶴瓶とゲストが主に田舎町にアポなしで訪ねて、話を聞いたり、食事をごちそうになる番組です。アポなし、演出無しとはいっても、テレビだし、NHKだし(笑)と思いつつ、毎回登場する朴訥な人のいいひとたち、子供達に、とても癒される番組です。まだ、日本にも日本のいいところが残っている街もあるのだなあ、と思えます。

7月7日は勝村政信さんがゲストの回の後編で、勝村さん自身が、高橋伴明監督の映画の中で演じた、波多野義信公(道元禅師を永平寺に招いた武士)ゆかりの永平寺町を尋ね、いろいろなひとに出会うわけですが、最後に目的の波多野氏の末裔、30代当主の方に会います。普段は田圃に出ている波多野さんですが、どこか上品なたたずまい。

そして勝村さんらしく、当主と奥さんの馴れ初めなどを、ちゃかしたりするシーンが流れた後、この番組恒例で、出演した人からのメッセージビデオが流れました。

そこで波多野さんは、

「勝村さんが来たとき、先祖様が現れたような気がして、うれしかった」

と言いました。これを聞いて、それまで、バラエティらしく笑いを取っていた勝村さんも、役者として波多野義信公を演じたことに対する、これ以上ない賛辞に、おもわずウルウルきていました。

尋ねてきたことに対する社交辞令的な意味もあったかもしれませんし、本当にそう思ったかもしれません。そういうことより、役者として先祖を演じた勝村さんに、どうお礼を言えばいいのか、どうおもてなしすればいいのか、さすがに名家の当主は心得ておられて、自然に出てきた言葉だと思います。とても感動しました。

言葉で傷つき、傷つけ、殺伐と生きてる自分ですが、大いに考えさせられました。ご馳走や、様々な気配りのおもてなしも大切なんでしょうが、人間だから、気持ちを確実に伝えるには、言葉。まず言葉が大事なんですね。

おべっかや的外れにならず、誉めたり、相手を称える言葉って本当に難しいですが、言葉でおもてなしできるような人になりたいもんだと思いました。