晴れた朝

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「親が死ぬなんて思いませんからね」

年配のタクシーの運転手さんが、急に柔和な顔になって語り始めた。

「四十九日までは、あっという間ですよ」

高齢なのは意識してはいたが、まさか。体を鍛えていた父が急になくなって、実感が伴わないまま、ばたばたと儀式が進む。

危篤といわれて病院にかけつけた時も、降っていた小雪が晴れて、青空の寒い朝に火葬場に向かったときも、現実感のないままだった。

少しは、オヤジのわがままに付き合ってやればよかったと後悔しても、遅い。

 

それにしても、他人の葬式に出たことはあっても、実際送り出す方になると、まったく違い、分からないことだらけ。伝統のない街では、周囲の年配の人でも、諸事に精通しているとは限らない。宗派、地域で結構違うことも多いようだ。

遺族が静かに故人を弔うことを許さず、とにかく短時間に応対、応接に明け暮れ、精神的に、場合によっては経済的にも追い込むような今の葬儀には、納得できないこともあるが、残された親の意図を汲んで逆らわず、なんとか「世間並み」でやり過ごす。

あっという間に時間が経つ。なんだかんだいって精神的な支柱がいなくなると、生活も一変する。そして改めて、今更のように、命は有限なのだ、実感する。

しばらく更新できなかったのはそんな訳です。

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