賛成して大丈夫ですか?取締役の皆さん

J1の2シーズン制が決定されようとしている。
制度の分かりにくさとか、面白さ吟味の点は、多数の方が言ってるので、ここでは触れない。

クラブライセンスの導入とか、ほとんどのチームが青色吐息の経営状況では、何らかの手を打なければいけない事は、理解できる。問題解決には、2シーズン制が最も効果的な手段と言えるなら、導入して見る手はあるだろう。

もし、「Jリーグに興味ないけど、2シーズンなら見に行きます」「2シーズンになったら、プレーオフに参加できない、地元のチームでも見に行きます」、という強い支持があるなら、やってみるべきだ。

しかし、仮にプレーオフで盛り上がり、終盤の動員が増えるとしても、普通に考えて、恩恵にあずかれるのは、短期決戦用の選手を用意できて、各ステージの優勝争いに参加できる、3、4チームに終わるのではないか。

優勝争いの蚊帳の外の各地域では、サポ以外の人は、プレーオフに仮に興味を持っても、地元チームの試合には行かない。元々のサポーターは、落ち着いた選手育成もできず、短期の結果優先の制度に嫌気さして、徐々に行かなくなる。結局、さらに観客減を招くことにならないか。そして、分配金も無いという。

結局、2シーズン制で、利益を得るのは、体力のある数チームと、10億を手にする事務局だけになりそう。事務局が特定のチームのファンだけにアピールす る広告をやってくれるとも思えない。抽象的な「Jに行こう」みたいな宣伝しかしてくれないだろう。だって18チーム切替のCM作り、1回流す だけで、10億は消えるのでは?

となると、運営会社の取締役である多くの実行委員の方々は、「顧客」の支持が薄い、自チームの経営にマイナスになる提案の議事録に、賛成の名前を記す、ということが、商法上どうなのか、もっと吟味する必要があるのではないでしょうか。
リーグ全体とか崇高な題目も、さることながら、今すぐ、あなたのチームの動員を増やさないといけないのと、違いますか。それが2シーズン制で本当に解決しますか?

もっ とも、観客増、スポンサー増を図るのに、地上波TV中継が鍵のひとつというのは、その通りである。たとえば、どんな選手がいるか、どんなプレーをしているか分 からない未経験者に、ただスタジアムに来い、といっても無理である。

ながらや、ついでや、偶然でも試合を目にできるテレビの力は大きい。ただし、それはチー ムの存在する地域での、日頃の中継放送という意味である。Jに興味が湧かないのに、いきなり、有料のスカパーに入ってといっても無理。また、プレーオフでのナショナル広告 欲しさに、限られたチームの全国放送ばかり考えていても、出てないチームには、押し上げにならない。

新規観客増は、プレーオフの放映ではな く、常日頃試合のローカル放送の中継重視であるべき。スカパーの独占契約の詳細は承知しないが、制作面ではローカル局と連携しているようだし、何より新 規のJファンが増えることは、スカパーにとっても、顧客の裾野を広げるという意味で、利益があり、棲み分けは可能ではないかと思う。

何も全試合、ローカル局が 中継する必要はない。もう少しNHKを含めてローカルでの中継ができるようなフォーマットと作るということ。ローカル局だって地元密着のコンテンツ不足のはずだ。中継するとなると、 テレビ局は必然的に番宣も行うから、効率的に認知度をあげることができる。

もちろん、テレビばかりではない。各チームには、多少なりと も、たまに、スーパープレーをする選手がいるはずである。ゴール・シーン以外でも、そういうプレーの動画を集めて流す。各チーム付のライターさんは、こう いう場面でこういうプレーがあったと説明をつける、いろんな所で書き散らす。

どのチーム強いか小学生でもすぐ応えられるシンプルな制度で、下位であっても「地元チーム」の未知の選手、チーム、プレーへの直接的な誘因になる、優勝争いに関係なく各チームが潤う、そういう方法が、もし2シーズン制というなら、反対はしない。