見所2008

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初めてベガルタを見る方のために例年書いていたこのシリーズ、今年は13節まですっかり遅れてしまいました。他意はありません。しかし、この間に本領を発揮してきた選手もいて、チームの形やバリーエーションがはっきり見えてきました。(内は背番号)

今年のチームの核はなんといっても、MFの前二人、新キャプテン梁勇基(りゃんよんぎ10)と、関口訓充(くにみつ11)でしょう。梁は去年同様チームの核。センスを感じさせる選手で、変幻自在に左右両足から繰り出すラストパスと、自らスペースに入り込んで得点する力があります。既に3ゴール。フリーキックも蹴ります。関口は、昨年から大きく成長、今季序盤から徐々に調子を上げ、今では高速ドリブルからのボールキープ、タイミングのいいパス出しで、ほとんどボールを奪われることがなくなりました。意表をつくゴールもあり既に2得点。この二人が、攻撃だけでなく、守備でもピッチ内を縦横無尽に動き、今のベガルタを動かしています。

FWでは、今季加入のベテラン平瀬智行(14)が復活。引退も考えていたということで、戦力というよりまとめ役なのか、失礼にもあまり期待していなかったのですが、9節水戸戦で2年ぶりのゴール、しかも2得点を上げてから、得点感覚が呼び起こされたのか、周囲とフィット、スタメン定着。前戦での落ち着いたポストプレーや老練なポジション取りで、相手に脅威を与えています。往年のスピードはなくても、要所でのブロックで守備にも貢献。184cmの平瀬が相手DFをひきつけることで、他の選手による得点の機会が増えました。例えば186cm元FWで、センターバックの岡山一也(32)が、頭と足で今季早くも2得点。



平瀬  中島
(西)(中原)
梁     関口
(飛弾)(佐藤)   
千葉  永井
(宮沢)(富田)
田村 岡山 木谷 菅井
(磯崎渡辺一柳田ノ上)
林(萩原、シュ)
そして、攻撃面で見ていてわくわくするのが、今季加入のベテランの職人MF佐藤由紀彦(24)の右足から繰り出される、絶妙のクロス、フリーキック。これに、打点の高いFW中原貴之(9)がピンポイントで頭で合わせるホットライン・ゴール。他の選手の好調さのため途中出場を余儀なくされている二人ですが、短い時間で12節、13節とコンビで2得点と、結果を出しています。
昨年10得点上げた中島裕希(なかしま13)は、今季2得点。5月初めの時点では、昨年前半の絶好調期に比べると、キレがイマイチですが、裏に抜け出す動きを繰り返し、守備でのプレスにも献身的に動いています。シュートもほとんどが枠内を捉えるようになってきました。きっかけが掴めれば、点も取れるようになるでしょう。ケツメイシでも場内で流して貰いますか。


Wボランチには、ブランメル以来のベテラン千葉直樹(7)、300試合出場を達成した永井篤志(8)が、スタメンで連続出場。運動量豊富にチームを締めています。若手も彼らに運動量で負けてはいけませんね。千葉は読みのいいパスカットがあり、永井は独特のドリブルでボールをキープして、タメが作れます。さらに、千葉には打点の高いヘッド、強烈なミドルシュートもあり、隠れた見所のひとつです。

現代サッカーの要、両サイドバックには、開幕から右、菅井直樹(25)と左、田村直也(23)の両MFが起用され、不動のレギュラー。特に菅井は、去年は6得点と相手ゴール前に出没する果敢な攻撃参加からのシュートが魅力です。今季は、これまでのところチームの守備連係形成のため、厳しい往復で得点はありませんが、チームの連動が固まってきた今後は、田村とともにゴールの機会も増えてくるでしょう。個人的には、左のスペシャリストでフィジカルで相手を押さえ込めるDF磯崎敬太(17)の復活、田村のボランチも見てみたいところです。また、左右両サイドができる、テクニックのある田ノ上信也(26)も、体調を整えてて早く目だってきてほしいところ。

センターバックでは、長身の岡山と木谷公亮(2)のベテランコンビが高いラインを維持、カバーリーングなどで守備陣を統率、攻撃の起点となるサイドチェンジの視野の広さなどで、上位相手に3連続完封勝利を導きだすなど、抜きん出ています。
若手の渡辺広大(3)一柳夢吾(5)にも出場のチャンスがありましたが、まだまだ経験が必要。でも出ないことには経験できないので、ベテランとのコンビでの出場の中から、自ら這い上がってほしいものです。また、細川淳矢(4)もさらに思い切ったプレーで一角を狙ってほしい。

おそらくJ2最高レベルにある、GK陣。開幕から林卓人(16)が鋭い反応と冷静なプレーで、出場を重ね、リーグでも最小失点レベル。それに加えて12節首位広島戦では、入団8年目の萩原達郎(1)が、リーグ戦初出場、フリーのシュートもクリアして相手からも賞賛される落ち着いたプレーを披露、これまでの練習の成果をいかんなく発揮しました。そしてチームには、昨年のレギュラーで、骨折のため出遅れていたシュナイダー潤之介(22)や今季新入団の関東大学一部MVPだった関憲太郎(21)なども控えています。


さて、スタメン陣が好調なので、控え陣の出場チャンスがなかなかないですが、攻撃陣では、新加入のベテラン、正確なキックを持つレフティ、MF宮沢正史(6)の奮起に期待したいところです。右の佐藤、左の宮沢の自在のキックから、前線の選手が空中戦にドリブルにと、ゴールが取れるようになる場面も見てみたい。
FW陣では、スピードあるドリブルからエリア内に侵入していく西山貴永(たかひさ20)、怪我で出遅れたものの180cmながらスピードでも勝負できる田中康平(15)、縦に抜ける驚異的なスピードを持つ鈴木弾(19)など期待の若手がいます。また高校在学中ながら特別指定で入団している富山貴光(18)のテクニックやゴール嗅覚も本番で一度は見てみたいところ。

MFでは序盤途中出場した飛弾暁(さとし30)が面白い。ドリブルキープからのエリア内での切り返し、胸トラップからのシュートなど、落ち着きにあるプレーが特徴です。守備面の課題克服で出場機会も増えるでしょう。ボランチとしてベンチ入りもしている「小さな巨人」富田晋吾(27)もフィットしてきて、クローザーとして貴重な存在ですが、さらにベテランを脅かすようになってほしい。強気のプレーからの金子慎二(29)のパスワーク、新加入で怪我で出遅れましたが三澤純一(28)のドリブルからのクロス、なども見物です。今出てない選手もいつでも出られるように、気持ちと体調を維持してほしいところです。