千葉直樹著『手をつなごう』を読む

ブランメル・ベガルタに15年在籍し、2010年に引退したミスター・ベガルタこと、千葉直樹氏(以下敬称略)のフォト・エッセー『>手をつなごう』をようやく読みました。

副題は「ミスターベガルタが語る、街、クラブ、引退、そして震災のこと」。この本は、仙台で情報誌などを出版しているプレスアートが、「仙台闊歩新書」としてシリーズ化している中の一冊です。

フォト・エッセーということで、現役時代の雄姿やご家族の写真、今となってはこっ恥ずかしい髪型の写真なども収録。

企画が震災前なのか、後のなかは分かりませんが、震災の中で、ボランティア活動を行い、そこで感じたことと、引退までのブランメル、ベガルタでのサッカーでの人とのかかわりを重ね合わせて書かれています。

また、ベガルタの運営会社や育成への要望、何を目指すべきかについて彼なりの主張も言葉少なながら、書かれています。今、フリーとなっているのも、一度、サッカーというか、べガルタを離れたいと考えたのも、抱き込まれずに、外から客観的に見たかったのではないかな。

また、彼なりのこころ配りで、いち早く、自分から個人で、震災ボランティアで各所を回りながら、被災者の方の感情を考えて、マスコミの同行取材を全て断った、というエピソード。

サッカー選手としても、引退直後にいろいろ書かれたサッカーにまつわるインタビューの答えよりは、他の選手や歴代監督への思いが、少しだけ本音で書かれており、各時代の様々な選手のエピソードもあって、古くからのサポには興味深い本ともなっています。

有名な応援歌「AURA」好きのことや、川崎サポに引退時に弾幕を出してもらったり、それをチャリティマッチの時渡してもらったというエピソードもしっかり書いてあります。


さて、一番興味深い、千葉直樹自身の今後についてですが、明らかな事は書かれていません。
知人のサポは、かつて、ベガルタを見に行く、応援しにいくというより、千葉直樹個人を応援しにいくと言っていました。どんな生き方になるのであれ、そういうひとたちを裏切らない道を期待したいです。

尚、この本の収益の一部は震災義援金と、千葉直樹の支援活動の資金として利用されるとのことです。