2010ワールドカップのドラマ、そして日本

2010ワールドカップも残すところ、準々決勝2試合と準決勝、決勝だけになった。

これからも大一番でいろいろな事はあるだろう。しかし、今朝トイレにおきたついでに見たウルグアイ-ガーナ戦の延長後半からの展開は、あまりにも劇的で、おそらく歴史に残るドラマになると思うので、書き残しておきたいと思う。

(追記)2010W杯はスペイン優勝、イニエスタのゴールで延長1-0
タコ占い完全勝利。オランダはファールで止めてカード貰い過ぎ、自滅の感。ロッベンが決めていれば。
全試合ダイジェスト動画⇒ロングテール


「天国と地獄」
試合は、ガーナがムンタリのロングシュートで前半に先制、しかし後半にウルグアイのエース、フォルランがフリーキックを曲げて直接ゴールで同点。その後、両者譲らず、延長戦へ。延長で両者疲労の極みにありながら、互いに体を張っり合って点が入らない。そして試合は120分が過ぎ、PK戦突入かと思われた延長後半14分。

ガーナのコーナーキックからのヘッド、クリアの応酬からガーナが、頭で押し込んだ!かに見えたが、なんとウルグアイのFWスアレスが両手ブロックでボールを止めた!

勿論PK、スアレスはレッドで一発退場。とぼとぼベンチに引き上げるスアレス。
ガーナのPKキッカーは、この大会PK2本を決めているという、エース、ギャン。
ほとんど試合終了間際
これを決めてアフリカ大陸の参加国として初めてのベスト4か、と思われた。高鳴るブブセラ。

しかし、しかし、ギャンの強いキックは、バー直撃、大きく宙を舞う。なぜ、なぜ、なぜだ。少し助走が短かったか?

ユニで顔を覆うギャン。通路前で顔を覆っていたスアレスがガッツポーズ!現金過ぎるぞ、おい!そして延長終了の笛。静まるスタジアム。この状態でPK戦へ。
ガーナにはあまりにも、ショックが多き過ぎる。勝利への確信から、勝てなかったことへの後悔、そして不安。


PK戦。両チーム、選手・スタッフ全員が輪になる。ガーナは中心で選手が祈祷。PK戦はウルグアイが先攻。フォルランが簡単に決める。後攻のガーナにますますプレッシャーがかかる。最初のキッカーは誰だ。この雰囲気の中で。。。

なんと、キッカー一番手はギャンだ!大丈夫なのか?数分前にはずしたばかりだ。見ている方が心配になる。ガーナ、それでいいのか!

ギャン、なんと早い助走ですぐ蹴った、強いボールが上がっている、これははずした~、
いやゴール上部に突き刺さった。決めた!この場面で決めた、ギャン。まだ、天は見放していない。

ウルグアイ2番手あっさり決める。ガーナ2番手も決める。ウルグアイ3番手も決める。ガーナのベテランGKキングサンほとんど読めていない。そしてガーナの3番手、グラウンダー枠内も、弱い!ウルグアイの22歳GKムスレラにとめられた!やはりガーナの選手の方にプレッシャーか。

しかし、まだ、ドラマは終わっていない。ウルグアイ4番手、勝利を意識したか、大きくホームラン!まだ3-2。まだ分らない。次を決めれば、次を決めれば。

ガーナ4番手は20歳、攻める気持ちで、攻めろ。しかし、ああ、キックが弱い。枠内グラウンダーも、またムスレラが倒れた方に吸い込まれるように・・・とめられた。4-2。ウルグアイ王手。そしてウルグアイ5番手アブレウが、一か八かで左に飛んだキングサンをあざ笑うかのように、ど真ん中からループで決めた、40年ぶりベスト4への道。


延長後半、試合終了間際。コーナーのこぼれを押し込まれそうになり、キーパーの後ろにいた、ソアレスは思わず手が出たのだろう。もし何もせずボールを見逃せば、敗戦で、即座に試合終了となる。

それを考えると、バスケットのファールゲームのように、一か八かを狙って止めに行くのも、わずかな確率に賭けるという意味で、この時間帯、プロの試合、トーナメントという諸条件の中では、許されてもいいのでは、ないかと思う。
そして当人は、出場停止というペナを払うわけであるから、きわめてアンフェアとも言えないだろう。当然、フェアプレー最優先という意見もあるだろうが、自分としては、このハンドはあり、と思う。


さて、つけたしのようになってしまったが、日本代表の記録。
2010ワールドカップ、パラグアイに惜敗、日本代表ベスト16
決勝トーナメント1回戦
0-0から延長でも決まらず、PK戦へ。駒野が惜しくもバーに当て5-3で惜敗。ランクで上位のチームの互角の試合を展開、ベスト16。今回のミッションは果たしたと思う。日本代表お疲れさま。

日本-カメルーン 14日23時NHK 1-0。8年ぶりの勝ち点3ゲット。
オランダ-日本   19日20:30 0-1。川島の2点セーブで、得失ゼロにとどめる
デンマーク-日本  24日27:30 3-1、本田のブレ球、遠藤のカーブFKで2点、終盤岡崎も決めて3-1。
日本ーパラグアイ 29日(火)23時TBS  決勝トーナメント1回戦0-0延長からPK戦5-3で惜敗。

ワールドカップでの目標が結果を残すことだとすれば、2勝1敗1分(ただしPK戦負け)ということは、評価されてしかるべきだと思う。過程については、いろいろ意見があるだろう。これから総括もされるだろう。だが、それにはあまり興味がない。

なぜなら、日本は、まだ底上げが十分にできていない状況。プロができてわずか20年くらいの国である。体格がよくて運動能力の高い子供は、野球に行くケースが多い。なぜならJリーグにいただけでは、一生は食えないし、選手の社会的評価がまだ高いとは言えないから。露出が少なく、興味を持っていない子や親が、サッカーに目が行くのが、ワールドカップだけ、という状況もある。

一方、野球は地上波で中継、スポーツ紙、一般紙で毎日報道、さらにテレビのニュースでも毎日結果が報じられる。サッカーに興味をもっていない層、特に子供にアピールして、底辺というか、逸材・素材をひろいあげていくには、「熱狂」が必要なのである。

そのためには、戦術云々もタクテイクスとして必要だろうが、その前段として、本番で結果を出して、プレーを見せて感動させることが、もっと重要なのである。これを契機に多くの少年がサッカーを始め、将来、本田のような選手がごろごろ出てくるようになって初めて、様々な戦術も可能になるというもの。

今回の日本国内の熱狂は、将来に向けての布石となるもの。浮かれてもいいのである。浮かれようがいまいが、結果は同じ。どのみち厳しい道は待っている。ただ、評論家の一面的な批評、個人攻撃によって、サッカーをやり始める少年などいないことは確か。冷静な総括であれば大人の場で何かの役には立つかもしれないが。

今回いろいろな場で、これまで子供だったら「将来ワールドカップに出たい」だったのが、「ワールドカップに出て優勝したい」とでまで言う子が出てきた。それが可能なのか、どうかは分らない。

しかし、望まない事は与えられない。そう夢見ることができるようにしてくれたのが、今回の日本代表のプレーと結果だったと思う。育成も戦術も監督の人選も、それを担う選手が出てこないのでは、意味がない。