何故、応援するのか

「僕は応援するからね。ずっと、ずっと応援するからね。」
必死に叫ぶ子供の声に、周りにいた大人達は静まり返り、そして泣いた。....ベガルタがまだブランメルといっていたころ、観客わずかに数百人の陸上競技場での負けが決まった試合。

 ミスだらけの試合で連敗が続いていた。大人達はもはや罵声を浴びせる気力すら失せていた。子供が、負け試合で、自分の中に覚醒した何かを、大人はみんな忘れていた。

 サッカー文化だの、ヨーロッパの事情がどうだの関係ない。目の前の選手こそ自分の分身である。夢をかなえてくれる存在である。目の前でプレーする人間に魂を注ぎ込む。決められた形など、ない。
叫んでいるのは、選手の向こうにいる自分自身に対してである。

(2001.1)