草薙少佐は、八頭身の夢を見るか

25周年ということで、「攻殻機動隊 新劇場版」が今年の夏公開、4月には「攻殻機動隊ARISE」のTVシリーズも始まるそうで。

本当は、攻殻機動隊ARISEの草薙少佐のキャラクター・デザインが気にいらない、とか、フィギュアはなんか違うね、という話を書くつもりでいたのですが、士郎正宗さんが予見した世界を超えるような、現実の医学の進歩が見えてきて、そっちの話をちょっと書いてみたくなりました。



と、その前に。新劇場版も、ポスターのイメージ画像が、公開されていますが、ARISEの(私のw)不評を受けて、大人な素子、ナイスバディー仕様の義体になってはいます。が、また黄瀬和哉氏のデザインで、イメージが全然違うし、いささか。。。


 

もっとも、自分が気にいっているTVシリーズだって、原作とは、デザインする人が違うわけだし、どれが本家だとか、忠実だとか言っても、それこそ次元が違う創作物を作るのであって、原作マンガからアニメ、3Dや、フィギュア、実写(スカーレット・ヨハンソンが素子?違うだろw)と、それぞれ別物の作品になるのは、当然といえば当然なんですが。とにかく、違うんです!


まあ、背景のせいもあるけど、このフィギュアのクラスのクォリティで、お願いしたいです!



さて、横道にそれましたが、生まれながらに(作品によっては幼少期に)脳核以外は、すべて義体というサイボーグになった草薙素子。単一の身体を持たない上に、ネットワーク上の情報、プログラムと融合して、なかなか分りずらい精神構造をしています。

その中で、人間とは何か、機械とはどこが違うのか、というテーマが出てくるのですが、これまでは人間とは何か、というときに、単一の身体と精神、その誕生から死までで、考えておけばよかったものを、生殖医学の進歩が、攻殻とは、また違った問いかけをする段階になってきました。

まずはiPS細胞。文系な私には、いまひとつ理解し切れていませんが、もともと受精卵から分化したものを、初期化して、望みの器官などに再分化させる、ということでしょうか?

これにより、これまでの身体、宿命とか、時の流れによる縛られた身体に、囚われなくても良くなる道筋が見えてきました。さらに、

「12年凍結した卵子で出産 がん克服の女性、高2当時に採取」 (日経2014年12月)

これは、病気により子供が持てなくならないように、健康な間に卵子を採取・凍結し治療して12年後に、配偶者の精子と体外受精し、母体に戻す、というものでしたが、驚きでした。原理的に、精子も卵子も10年、それ以上凍結保存しておいても、受精できるそうです。

現在は、倫理的に、カップル本人が生きている間に、自分たち自身が精子、卵子を使うことになっていますが、本人たちが死んだ後まで、長期保存して、「借腹」に生んでもらうと、その子供は、いわばタイム・スリップした、といえなくはないか。。。

「攻殻」の中で、素子は、全身義体といっても、結構擬人化(この言い方もおかしいですが)していて、少女義体のサイボーグ?とベットを共にしたり、「いろんな男とつきあってるらしいよ」とバトゥに嘆かれたり、義体といっても女性の部分はあるのか、という少年の問いかけに「試してみる?」などと、今なら規制されそうな誘惑をしています。

視聴者へのサービス、という面もあるでしょうが、やはり「人間」のかかわりの中では、身体は必要なんじゃないか、という根本は、外せないという描き方。
「脳」だけあれば、人間だというなら、身体無しでも、快楽刺激でも与えておけばいい、ということになるはず。

先鋭的なSFアニメでさえ、そこは踏みとどまっていたのに、医学の方は、もう受精の前から、タイムスリップできるようになってしまって、もし、これに記憶の要素が加われば、不老不死になれる?

身体と精神が別々の存在になっていても、人間足りうるのか?

さらに、「攻殻」でもたびたび出てきた、知覚や記憶の書き換えの問題。脳の機能アップのために外部装置とつながる、あるいはネットワークと直結というには、かなりありそうで怖いですが、そうなると、元の人格が、大きく変わってしまう可能性が高くなる。

今は、特殊な病気だけで起こることが、簡単に引き起こされるようになると、本来の人格って何?ゴーストは、ひとつじゃやない、となってきます。

・・・長くなって、訳分らなくなってきたので、今回はここまで。